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02 長野測候所の創設に活躍


0109nakamura.jpg 中村兵左衛門の県議会で注目される活動として、長野測候所の創設問題があります。

 箱清水の城山公園内にある長野地方気象台は当初、県営長野測候所と呼ばれ1888(明治21)年に創設されました。その開設を問う第10回通常県議会が1887(明治20)年11月に開かれました。測候所開設に対して時期尚早としての反対論に対し、中村は次のように開設賛成の意見を述べました。

 「反対者があるが、私はかえって賛成する一人である。そもそも必要か不必要かはその人の見るところによって異なるもので、39番議員もこの事業は"早ければ早いほどよい、遅ければかえって不得策である"と注意している。これはもっともなことである。法律上、設置が義務づけられているのに、これを延ばしてもなんの利益もない。当局が必要と認めているのに、部外者があれこれとくちばしを挟むべきではない。いわんやわが長野県下においては必要欠くべからざることで、測候所は長野だけでなく、各郡役所所在地に必ず1個所あて設けて寒暖計と雨量計とを配置すべきである。

 しかしながら現在は県庁にさえも備えられてはいない状況である。今後はその必要性を訴えていかなければならないが、当面は備品費として233円50銭を増額し、松本中学校にも観測器械を備えておくべきである。聞くところによると、松本中学校長はかつて農商務省に奉職し、測候などのことに詳しいという。ここに器械一そろえを備え置き、一つは生徒の学術研究のために、一つは長野測候所と相照応して測候すれば、大いに利益のあることである。だから経費を増額すべきである」(=以上、意訳要約)

 このような中村議員の賛成意見の開陳があって、城山に測候所の開設は可決されましたが予算の増額は認められず、松本での測候は実現しませんでした。しかし中村議員の願いである県下測候所網の整備はその後進展し、やがて松本・飯田・諏訪・軽井沢に測候所が、そして上田・三蜂川・木曽三岳に気象観測所、さらに55の委託観測所などが順次、設置されるようになりました。
(2010年1月9日掲載)