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11 シャルトル(フランス) ゴシックの傑作ノートルダム大聖堂

 パリの名所ノートルダム大聖堂はフランス・ゴシック建築の代表作だ。しかしパリの南西、電車で1時間のシャルトルにあるノートルダム大聖堂こそ、フランス・ゴシック建築発祥の地。2004年にパリから一人で日帰り旅行をした。

 初期ゴシック建築は、その重さゆえ周囲に支える飛び梁(フライング・バットレス)がある。さらにゴシック建築の特徴のファサード(正面)中央に三門がある。カトリックの、神・神の子イエス・聖霊が一体(三位一体)という教義どおりの見事な三門だ。向かって左の新鐘楼はゴシック様式だが、右側の旧鐘楼はロマネスク様式と、左右で全く違うのも珍しい。

 ゴシック様式は、ロマネスク様式の後にフランス北部を中心に広がり、最初の半円形アーチから尖塔形アーチへと発達した。壁面の大きな空間が窓になり、これを利用してステンドグラスが生まれた。

11-kaigai-0703-01.jpg シャルトルのノートルダム大聖堂の内部もすごい。ここのステンドグラスは総面積2700平方メートルにわたる"シャルトル・ブルー"と呼ばれる青が衝撃的でもある。当時は字が読めない人々のために作られたステンドグラスだ。南側廊の「美しき絵ガラスの聖母」は、その青が際立つ。

 また正面入り口からすぐ左手の「エッセの家系樹」も一見の価値がある。入場料を払って左手の新鐘楼に上る。尖塔までは行けないものの、途中から見たシャルトルの町並みが美しかった。

 4年後の2008年、妻を伴って再訪した。希有な左右の尖塔とシャルトル・ブルーをどう感じるか聞いてみたかった。夕方と翌朝の2回訪れたが、すっかり気に入ったみたいだ。

 私たちに声を掛けてくれた堂内の男性スタッフが「みんなは白いベールを見たかね」と尋ねた。聖母マリアの聖なる衣。この白いベールは幼子イエスが誕生した時に羽織っていたものだという。中世ヨーロッパで巡礼者を集める聖地となり、町の人々にとって大きな財源になったため、聖母マリアが町を守っていると信じた。

 さらに、巨大な迷路の在りかも教えてくれた。何のことはない、堂内の床の上にあった。ここを僧侶たちは観光客のいなくなった夕刻や早朝、歩きながら瞑想するのだという。男性スタッフは私たちと記念写真を撮った後、「また来てください。大聖堂は来る度に違う顔が見えてきますよ」と言って仕事場に戻った。

 裏門から階段を下るとウール川に出る。市民の憩いの散策路で"メゾン・デュ・ソモン"(鮭の家)と呼ばれる16世紀の木組みの家が立っている。どこからでもノートルダム大聖堂が見える町並みは世界遺産にでもなりそうな古いたたずまいだ。川沿いには周囲に溶け込んだレストランがあり、「今度ここに来たら入ってみたいな」と声を合わせた。
(2010年7月3日)