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092 柳町神社〜市内で最も早い桜の名所

92-rekishi-0313.jpg お花見シーズンが近づいてきた。桜といえば、市内なら「城山」が定番だが、人それぞれに自分だけの穴場を持っている方も多い。近所の学校や寺社、公園であったり、犀川の土手の並木であったりする。

 春を待たずに友人の訃報を聞くと、「我が身はあと何回お花見ができるのだろう」などと、うら寂しい年ごろだ。

 そこで愚かな自慢だが、近年は人さまより一回でも多くお花見をするのをモットーにしている。それには早咲きの場所、遅咲きの場所を知らねばならない。

 市内で一番早く桜の咲く場所をご紹介しよう。思い掛けない「名所」が、柳町神社のある柳町公園だ。

 「長野で一番に春を知らせる」と地元住民は自慢している。柳町交番の南側、早苗町通りに沿った三角形の地形に23種類の桜が約80本。住民が20年近くを費やしてコツコツと植栽し、手入れを欠かさないので木に勢いがある。開花時には、近くを通るドライバーは皆目を奪われる。

 この公園は1931(昭和6)年から34年にかけ、大規模な区画整理事業の際に造成された。小さくて真新しい神社は、91(平成3)年に地域の氏神さまとして建立されたニューフェースだ。毎年10月初旬に祭礼が執り行われ、お神輿が奉納される。園内では国際的評価が高い佐藤忠良作の「二歳」という傑作彫刻も拝見できる。

 昼間の陽光に輝く各種の桜を愛でるのもよいが、車の騒音を我慢しなければならないのが玉にきずだ。そこでボンボリに照らされた夜桜見物も一興。すぐ近くの銭湯「東の湯」のサウナでたっぷり汗を流し、イカの足に缶ビールなどを持参して出掛ければ満足、満足になる。

 東鶴賀から西鶴賀通りを西に進めば権堂の紅灯も近い。2,3日遅れの「城山」や「雲上殿」に備え、お花見のプロローグになるはずだ。
(2010年3月13日号掲載)


 
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