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08 マラガ(スペイン) 高速鉄道でトラブル

08-kaigai-0605map.jpg 2007年12月24日のクリスマスイブは、スペインの誇る高速列車AVEにとって記念すべき日だった。南のリゾート地・マラガと首都マドリード間が開通した初日だった。ピカソの生地であり南国色漂うマラガでの3日間を満喫した私たちは、マドリードでクリスマスを迎えるべく、日本でAVEを予約していた。

 マラガ駅に着くと、改札口に報道陣が詰め掛けていて、職員も晴れがましい装いだ。私が「何でこんなにカメラマンが」と尋ねると「きょうが開通初日なんだ」。ヘーッ、偶然だな。地元の人によると、スペインではいつ開通かは知らされていない、という。急きょ取りやめになることもあるからとか。

 予約のチケットを見せると、正装した女性スタッフが「あなた方は8人ですが6人分しかありません。2人分を窓口で買ってください」。そんなバカな。東京の旅行会社でいつものように予約購入して8人分支払ってある。

 「ほら、座席番号が12のA、B、C、Dと13のA、Dです」。出発時間も迫って急いでいた私たちは、チケットを見直しても確かに6人分のアルファベットしか読めなかった。仕方なく券売所の窓口に行って2人分を購入。220ユーロだった。この時の1ユーロは170円だったから3万7000円になる。帰国後、旅行会社に請求しなければ、と心穏やかでなかった。

 AVEの車内では乗員が記念グッズを売りに来た。車内のビュッフェの位置を尋ねても困った顔をして「私たちもまだAVEの車内をよく分かっていなくて...」と、まるで新人同然だった。日本では考えられないラテン的なおおらかさだ。

 マドリードの宿に着いて大急ぎで東京の旅行会社に電話をした。担当した職員が大慌てで対応している。「30分後にもう一度お電話いただけませんか」。再び電話。「お手元のチケットの番号を読んでいただけませんか。13のA Dの間に−が付いていますね」

 確かにうっすらと横棒のダーシ(−)が付いている。A、Bのようにほかはカンマだ。日本では紛らわしいような−を使わず、A、B、C、Dのようにして発券する。「ご足労ですがあすの朝、マドリード駅のAVEに行ってそのチケットを見せて事情を話してください」

 翌朝、一人で事務所を探し当てて事情を説明した。こうしたケースは初めてなのか、女子職員からその上司、そして所長までがやってきて、その都度事情説明の繰り返し。やっと「分かりました。ここに状況を英文で書いてください」。英作文の実践練習だ。「ここでは返金できませんので後日、日本のお宅の方に連絡します」

 解放されるまで、かれこれ1時間を要した。胸をなでおろし、東京に電話して手続き完了。「良かった」と、この時は思ったが...。

 08-kaigai-0605.jpg帰国後、しばらくしてスペインのAVEから署名入りのタイプが届いた。内容は、こちらには落ち度がないから返金できないという。私が座席番号が付いたチケットのコピーを返信したのに「何なんだ」。東京の旅行会社にあらためて連絡。AVEからの手紙と現物の座席予約券を東京に送付して交渉してもらい、為替で3万7000円が届いたのは半年後だった。
(2010年6月5日号掲載)