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13 スイス グリンデルワルト〜エーデルワイスにご対面〜

13-kaigai-0904p.jpg 不朽の名作『サウンド・オブ・ミュージック』で歌われる高山の名花・エーデルワイス。学名はレオントポディウム・アルピヌス。オーストリアなどヨーロッパ・アルプスを代表する花だ。私は「一生に一度でいいから、その野生の姿に出合いたい」と思っていた。

 マッターホルンの麓のツェルマットと並び、ベルナーオーバーランド地方の中継基地がグリンデルワルト。アイガー、メンヒ、ユングフラウの3名山を見渡す観光地だ。そこにアパートを1週間借りた。

 ベランダがない安い方の部屋だが、ツインで1人3万5000円。1日5000円は結構な値段だが、物価の高いスイスではお得だろう。オール電化で冷蔵庫や食器付き。鍋釜もセットされている。米や冷や麦、そばなどを持参すれば夏には安上がりだ。外のレストランで食事することを考えれば、食費はただ同然。登山電車やロープウエーなど1週間乗り放題のチケットを買えば、その日の天候でコースを決められる。

13-kaigai-swiss.jpg お勧めはグルント駅からロープウエーの終点・メンリッヒェン展望台。ここからアイガーやユングフラウの4000メートル級の名山に向かって、なだらかな稜線(りょうせん)を1時間余歩く。きれいに整備された山道にはベビーカーを押す夫婦や、ストックを持って歩く喜寿を過ぎた老人も。スケールの大きな展望に魅了される。歩く先には、クライネシャイデック(小さな峠の意)の山岳鉄道の駅がある。

 もう一つは、小高い丘のシーニゲプラッテ駅からすぐのプラウトラウエネンから見下ろすトゥーン湖とブリエンツ湖。眼下に大きく青い湖が広がる。ここでベルギーからの夫婦と知り合い、翌日私たちのアパートで楽しい夕べをすごした。

 民家で栽培したエーデルワイスは造花のようで、どうしても野生の花が見たかった。アパートのオーナーに尋ねると「一般のルートではもう見られないよ。日本人観光客が根こそぎ採っていったからな」。同じ日本人として恥ずかしくなった。

 「何とかこの目で見てみたい」の思いは強く、日本人観光客があまり行かないというメッテンベルクの山を目指した。フィングシュテックからロープウエーで5分ほど。ここから二手に分かれ、短いルートの氷河の谷に向かう。

13-kaigai-0904p2.jpg 40分も登ったその時だ。岩にへばりつくように2本のエーデルワイスが雨露にぬれていた。それからしばらく、あちこちに。栽培していた花弁と比べると、やや小ぶりだ=写真円内。終点のヒュッテの前には群生が見られた。夢がかなう。

 アパートに戻ると、オーナーに「ついに野生のエーデルワイスを発見したよ」と報告した。彼は心配そうに「採らなかったろうな」と言うので、私は「いっぱい撮ったよ。写真でね」。ウインクして答えると、彼は苦笑した。
13-kaigai-swiss.jpg(2010年9月4日号掲載)

=写真=氷河を前にヒュッテに集まった観光客
 
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