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06 「恋はデジャ・ブ」(1993年) 〜外国の笑える映画に笑えない私...

 Q 友人お薦めの「泣ける映画」には必ず泣けるのに、「笑える映画」はどこが面白いのかさえ分からず、笑えません。私って変なんでしょうか?

 A 実に深い、哲学的な質問です。結論から言いますと、あなたは変ではありません。全く、普通です。実際、WEB上のランキングを見ても、笑える映画の評価は人によって大きく違います。

 私もアメリカの映画館で疎外感を感じたことがあります。周囲の観客は身をよじり、席から転げ落ちんばかりに笑っているのですが、私には全くおかしくないのです。言葉の問題ではなく、身体表現だけのギャグにも笑えないのです。「何を笑うか」は、結局、ある文化や個人が「何を笑いたいか」によるのかもしれません。

 アメリカ映画協会が2000年までの米国映画の中から、「笑える映画ベスト100」を選んだことがあります。1位は、『お熱いのがお好き』、2位『トッツィー』、3位『博士の異常な愛情』となっています。アメリカの専門家の目と自分の趣味は違うと感じませんか?

 でも100本もあれば、あなたの笑える作品もきっとあるはずです。このリストの中から探してみましょう。私のお薦めは、40位にランクされた『おかしなおかしなおかしな世界』(IT'S  A  MAD  MAD  MAD  MAD  WORLD)ですが、日本でDVDは出ていないようです。13位の『ヤング・フランケンシュタイン』なんかも笑えます。ジーン・ワイルダーとメル・ブルックスの最強コンビによる名作で、DVDもOKです。でも、100%笑うには、「怪物の基礎知識」が必要かも。

 ラブ・コメディーであまり下品でないものをお望みなら、34位のハロルド・ライミス監督の『恋はデジャ・ブ』(1993年)などはいかがでしょう?

 原題は Groundhog Day。毎年2月にペンシルベニアで行われる リスに似た動物で春の訪れを占う祭りです。この取材に、田舎町にやって来たテレビ局のお天気担当のフィル(ビル・マーレー)は、自己チューの中年男。自分が予測しそこねた吹雪で町に閉じ込められ、目覚めると昨日と同じ日、翌日もまた同じ日。奇妙な状況下で先が読めるのを利用して、フィルは女性プロデューサーのリタ(アンディ・マクダウエル)を口説こうとするのですが...。

 繰り返しというのは、笑いの原点なのかもしれません。そして、人生についても。

 観客は愚かな中年男を笑いつつ、彼を変えていく時間と行為の繰り返しの意味を考えることになります。笑いが温かな涙と一緒になれば、あなたの心配も氷解すること請け合いです。
(2009年10月3日号掲載)
 
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