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08 「8人の女たち」(2002年) 〜フランス映画は少し難しい...

 Q 友人の勧めでフランス映画を見ました。アメリカ映画とは雰囲気が違い、少し難しいように思いましたが、なぜでしょう?

 A 一口にフランス映画と言っても、軽い喜劇から、哲学的な実験映画まで、さまざまですから、何をご覧になったのかによって答えは違ってくるかもしれません。以下はあくまで一般論です。

 見慣れているハリウッド作品は、世界の才能を集めて万人向けの商品として作られます。米国は多様な移民で成立した国ですから、映画は、言葉が分からなくても、画(え)と動きで理解できる娯楽として発達しました。

 一方、日本やフランスの映画には、それぞれの文化の持つ「思考の癖」のようなものが反映しています。慣れないと、それが難解に思えるのかもしれません。

 しかし、仏映画からも邦画からもハリウッド版のリメークが作られているように、違いは本質的なものではありません。むしろ、ハリウッド映画以外の各国の映画を見慣れてくると、それぞれ独特な色彩や雰囲気に魅了されるのではないかと思います。

 試しに、最近の仏映画を代表する監督の作品を一本鑑賞してみてはどうでしょう。例えばフランソワ・オゾン監督作品。ダニエル・ダリュー、カトリーヌ・ドヌーヴ、ヴィルジニー・ルドワイヤン、ファニー・アルダン、エマニュエル・ベアール、イザベル・ユペール、リュディヴィーヌ・サニエ、フィルミーヌ・リシャールと、今のフランスを代表するベテランから若手までの女優8人が登場する作品があります。その題も『8人の女たち』(2002年)。

 1950年代のフランスの雪に閉ざされた山荘に、男の死体が一つ、女が8人。犯人は8人のうちの誰か?
アガサ・クリスティーのミステリー風状況設定の中で、女性たちの秘密と意外な素顔が描き出されます。シリアスな心理劇ではありません。ミュージカル喜劇です。8人の女優たちは、ベルリンやローマでその見事なアンサンブルを称賛され、演技賞を獲得しました。

 ミュージカルですから、やや唐突に歌と踊りが始まりますが、難しいところはありません。この映画で大丈夫と思ったら、同じ監督の『まぼろし』のような作品、あるいは、各女優の代表作を鑑賞してみてはどうでしょう。 ただし、彼女たちは国際派ですから、フランス語をしゃべっていても、仏映画ではない場合もあります。例えば、ユペールには、オーストリア(墺)のノーベル賞作家の作品を原作にした、難解な仏墺合作などもありますので、ご注意を。
(2009年12月5日号掲載)
 
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