
起工式は丸山弁三郎の市長就任直後の23(大正12)年5月17日、石堂町の起点で県・市の関係者80余人が参加して行われました。
中央通りの改修は大門町から石堂町までの路線をほぼ一直線とし、石堂町から仁王門まで一望できることを目標にしました。そのために道路の広狭や、屈折・湾曲・傾斜を是正する必要がありました。
そこで、家屋の移転や切り取り、電柱その他の障害物の撤去と移動、つぶれ地の処理など難問が発生し、その補償等に苦慮しましたが、市の適切な行政処理と市民の協力で遂行されました。
竣工式は24(大正13)年12月5日、終点である仁王門前で行われ、式終了後は城山グラ ウンドで800人の招待者が参集して盛大な祝賀会が持たれました。市民は俄(にわか)物・屋台を出し、夜は大掛かりな煙火大会が催されました。
中央通りの改修によって得た利点として、およそ次のようなことが挙げられます。
・門前町長野・県都長野の景観が一変
・車が自由に通行でき車道と歩道が区別され、交通の混雑が一掃された
・道路の広狭・屈折・傾斜が是正された
・中央通りを横切る鐘鋳(かない)川・八幡川・古川などに架かる橋が鉄筋コンクリート、アスファルトで固められ、電車敷設にも耐えられるようになった
・道路整備と相まって、鉄筋コンクリートや塗り屋の家屋が増えた
・火災予防のために庇(ひさし)境が拡張された家が増加した
・中心市街地の商業活動が活発化し、町に活気が出てきた
・街路樹に6000本のプラタナスが植えられ、町に生気と潤いが出てきた
・周辺の農村部からの買い物客や参詣客が増え、町がにぎわうようになった
(元『長野市誌』近現代史部会長)
=写真=改修現場を視察する丸山市長(中央)