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20 「ホリデイ」(2006年) 〜予告編はどう作られる?

20-kinema-1204.jpg Q 予告編を見て期待して行ったら、全く違う映画という経験があります。どうしてですか?

 A 予告編(trailer)の作り方はいろいろで一概には言えないのですが、映画の完成前に作られたものだったかもしれません。予告編を作っている人が本当の内容を知らないのですから違って当然です。

 昔は、予告編制作者に与えられた材料が公開本編では捨てられていたなんてこともありました。楽しみにしていたシーンが出てこなければがっかりしますし、大事な場面が本編を見る前に知らされてしまっても興ざめです。

 ですから予告も自分で作るという監督もいるのですが、予告は広告ですから、配給側の思惑で、それを使う時と所によって、さまざまなタイプのものが映画とは別の作り手によって、作られることになります。

 『ホリデイ』(2006年、米国)の主人公、キャメロン・ディアス演じるアマンダは予告編だけを作る会社を経営しています。ビデオ・クリップをつなぎ、効果音を付け、その上にナレーションと宣伝用の字幕をのせるのですが、その色を「スコセッシの赤はダメ」などと細かく指示します。

 彼女は、クリスマス休暇にロサンゼルスの自宅をロンドン郊外に住むアイリス(ケイト・ウィンスレット)と交換し、アイリスの兄(ジュード・ロウ)と恋に落ちるのですが、職業病で、その恋の行方さえ予告編のナレーションとなって頭の中を流れるのです。ラスト近く、15歳のころから失っていたものを取り戻す場面でも、独特の声が響きます。この声こそが予告編の命だとも言えるでしょう。

 映画のもう一人のヒロイン、アイリスと絡むのが映画音楽作曲家とシナリオ作家です。演じるのは、ジャック・ブラックとイーライ・ウォラック。新旧の名優がウィンスレットとアンサンブルの妙を見せます。二人が彼女に教える、見るべき、聴くべきハリウッド映画リストも参考にしてください。

 印象に残るのは、レンタル・ビデオショップで、ブラック演じる作曲家がDVDを取り上げては、名曲をハミングして見せる場面。この映画音楽も担当しているハンス・ジマーの曲を取り上げる楽屋オチに続いて、『卒業』を取り上げたら、なんと、カメオであの俳優が...。

 現代の働く女性の本音とハリウッドの伝統を巧みに結び付けてみせるのは、ペニー・マーシャルの後はまずこの人と思わせる女性監督、ナンシー・マイヤーズ。映画への愛にもあふれた、元気の出るクリスマス映画です。
 では、皆さま、メリー・クリスマス!
(2010年12月4日号掲載)

=写真=『ホリデイ』発売元/ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント 2500円

 
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