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22 デンマーク コペンハーゲン〜経済的にも環境的にも魅力〜

22-kaigai-1218m.jpg スカンジナビア半島と向き合うデンマークは3月でも寒い。スカンジナビア航空を使ったのでデンマークをトランスファー(乗り継ぎ)にせず、帰国前に駅近くのホテルに3泊した。

 治安の良さと人々のゆとりある生活から、この国が豊かなのを実感する。自国通貨クローネが強い。朝食で隣の席にいた年配の夫婦と言葉を交わした。「クローネが強いですね?」「私たちの国では石油がとれる。EU(欧州連合)に加盟しているが、ユーロを導入しないのはクローネに愛着も自信もあるからだ」

 自然エネルギーの環境先進国で、洋上風力発電もある。1985年の国民投票で、原子力発電はしないことが決定。2030年までに風力発電の割合を50%にする目標だ。こんなに寒いのに外国からの出稼ぎ労働者が目立つのは、この国が経済的にも環境的にも魅力があるからだろう。昨年暮れにCOP15が開かれたのもうなずける。

 朝、衛兵の交代を見に、中心街から東にある王室の居城・アマリエンボー宮殿に足を延ばした。フレデリクス5世の騎馬像を真ん中に八角形の広場を取り囲むように立つロココ様式の宮殿だ。衛兵は楽隊を先頭に11時半に宮殿を出発、旧市街を練って宮殿に戻り、正午に交代式になる。

 交代式でデビューというので、フュン島のオーデンセから息子の"雄姿"を見に来たという父親と一緒になった。誇らしげな父親の顔。20歳の息子は緊張気味だ。英国のバッキンガム宮殿での"衛兵交代"と少し違うのは、チョコチョコした足の運びがユーモラスなこと。見学者からも笑みがこぼれる。

22-kaigai-1218p.jpg 人魚姫の像にも足を運んだ。この国が生んだ偉大な童話作家アンデルセン。Andersenの語尾のsenは英語のson と同じ。Peter-son, Davidson などで、息子という意味から「分家」を意味する。昔、分家には財産分与もなく生活苦にあえいだ。そんな家系からアンデルセンには『みにくいアヒルの子』『マッチ売りの少女』など物悲しい童話が多い。人魚姫の寂しそうな銅像も、それを映し出しているようだ。

 ホテルのホールでインターネット検索をしている時にショッキングな話を聞かされた。ドイツ人のフィリップ君と地元デンマークの恋人が、私が日本人だと知ると「仕事で日本に行ったことがある。日本人って不思議だ。仕事でつてがないと心を開かないが、上司の紹介やいったん気を許すと、とても仕事がやりやすい。でも、逆になると大変。個人ではなく組織として人間関係も機能する。そんな国は初めて」というのだ。

 「日本人5人と中国人5人が同じ場所にいた。互いの一人同士が激しい口論になり、けんかになった。どっちが勝つと思う?ー日本人だ」。

 「どうして?」と私は聞き返した。

 「中国人は個を大切にするから、個人の問題として周囲は加勢しない。日本人は個の問題を集団や組織にするから、5人で闘う。1対5だ。だから日本人の方が強い」。私はガクッときて反論できなかった。
(2010年12月18日号掲載)

=写真=物悲しげな人魚姫の像


 
私の海外交友記