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07 「ミッション」(1986年) 〜最後まで見た方がいいか?

 Q 映画の終わりにキャストやスタッフの名前が出始めると映画館を出たくなりますが、最後まで見た方がいいのでしょうか?


 A トイレに駆け込みたい、電車に間に合わないなど、切迫した事情がなければ、最後まで、ご覧になることをお勧めします。

 理由はいくつかあります。まず、何事にも余韻が大切であること。さらに、すてきな映画音楽をバックに流れるクレジットによって、「あの役の俳優は誰?」、「あの景色のロケ地はどこ?」など、さまざまな情報を知ることができることが挙げられます。そしてもう一つ大事なことは、クレジットと同時に、あるいは、終了後に挿入されるおまけシーンを見逃さないためです。

 『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『X-メン』のクレジットの後には、続編への導入となるシーンが用意されていることをご存じでしょう。『ラッシュアワー』でおなじみのジャッキー・チェンのNG集なども見ないと損ですね。ジャッキーへのオマージュともいえるアニメ『カンフー・パンダ』にも、長いクレジットの後に、ほほ笑ましい1カットが用意されていました。

 こうした、クレジット後の映像で思い出すのは、ローランド・ジョフィ監督の『ミッション』(1986年、英国)です。

 舞台は、18世紀の南米、イグアスの滝付近。イエズス会士ガブリエル(ジェレミー・アイアンズ)は先住民たちへの宣教活動に献身しています。かつて奴隷商人であったメンドーサ(ロバート・デ・ニーロ)は、ガブリエル神父の感化を受けて、見習い修道士への転身を決意したのですが...。

 天使のごとく美しい音楽を奏でる素朴な人々の信仰共同体は、スペイン、ポルトガルを中心とする欧州の覇権争いに巻き込まれ、植民地主義国家の魔手は、ついにその楽園を崩壊へと導くのです。人々の尊厳を守るために、武器をとって立ち上がろうとするメンドーサ、非暴力を貫きつつ、彼らに寄り添うガブリエル、2人の信仰と戦いを中心に、歴史の闇に消えた人々の一大叙事詩が描かれます。

 観客は、アカデミー賞撮影賞に輝いた美しい映像と名匠モリコーネの音楽に魅了されつつ、歴史上かつて起こり、また、形を変えていまも起こっている悲劇を目撃します。物語が終わり、クレジットがすべて流れ終わった後に、1人の人物が画面に映し出されます。その人物は無言ですが、その表情はとても雄弁です。

 実はこの映画のせいで、私は場内が明るくなるまで、決して席を立てなくなったのです。

 
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