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17 結婚 〜宇津井さんの世話で 優しく穏やかで感謝〜

17-kuraishi-0226.jpg 29歳11カ月の時に、5歳年下の吉田秀子さんと結婚しました。30歳までに結婚したいと思ったのは、子どもとキャッチボールをしたり、50歳で一緒に酒を飲みたいと、子どもが20歳になった時の自分の年齢を考えたことも理由の一つでした。

 明かりのともっていない自宅に帰る寂しさも感じるようになり、番組で親しくさせていただいた宇津井健さんに、そろそろ結婚したいなと相談したのがきっかけでした。しばらくして紹介してくれたのが、今の家内です。

  老舗料亭のお嬢さん
 彼女は宇津井さんが通っていた「土筆(つくし)亭」という料亭のお嬢さんです。そこは囲炉裏でアユを焼いて食べさせる鮎茶屋で、ひいき客にはライシャワー元駐日米大使や吉田茂元首相ら政財界の大物、作家の井上靖さん、水上勉さん、西条八十先生、そして美空ひばりさんらがいて、一流の人が通う、一見の客は入れない格式の高い店でした。

 彼女の性格は古風で控えめ。165センチのスラリとした長身で、品のある和服の着こなしと清楚さに引かれました。「ザ・ガードマン」を見たこともなく、芸能人と意識しないで接してくれました。宇津井さんは「金は持っていないが、東京に持ち家のある堅実な役者がいるが、どうか?」と勧めてくれたようです(笑)。

 この女性ならわがままな僕にも合わせてくれるかなと思い、交際半年で決めました。早かったのは実は婚約がゴシップ記事として女性週刊誌にスクープされそうになり、デビュー当時からお世話になった「平凡」と「明星」に知らせ、すぐ写真を撮って発表してもらったからです。

 結婚式は3月3日。僕は数字の3が好きだし、ひな祭りなので「かかあ天下」になるのもいいかなと、この日を選びました。小坂善太郎元外務大臣に媒酌人をお願いして、東京と長野で披露宴を行いました。

 東京での結婚式には毎日新聞社の山本光春社長、キヤノンの御手洗毅社長をはじめ、大映の俳優と「ガードマン」のメンバーは全員、劇団欅からは岡田真澄さん、ゴルファーのジャンボ尾崎さんら、大勢が出席して祝ってくれました。新婚旅行のハワイには雑誌社も同行取材して、ワイキキで撮った写真が「平凡」に掲載されました。

 結婚したては独身気分が抜けず、一人で遊びに出掛けるなんてこともありましたが、家内は我慢強くてつらいことも顔に出さず、随分と助けられました。優しく穏やかで、けんかしたことはほとんどありません。お金が多くても少なくても屈託がなく、きちんとやりくりするんです。

 人に喜んでもらうことが好きで、お世話になった人にはお礼を忘れない気配りタイプ。それがとても自然で、人に気を遣うことを彼女から学びました。口に出すのは照れくさいですが、感謝しています。

 記念日には花
 結婚して37年。結婚記念日には毎年、花を贈ります。家内は「花を見た感動は、宝石よりもはるかに素晴らしいわ」と言って、花を一番喜んでくれます。

 堅実な父親が、練馬に小さな家を買うという最初の種をまいてくれたおかげで、今は新宿にマンションを建てることができました。その一室に住んでおり、テラスから目の前に広がる都庁や新宿副都心の高層ビル群の美しい夜景が家内のお気に入りで、これが一番の女房孝行かなと思います。

 結婚は共同生活で、努力し合うもの。僕の主義は思いやりと少しの我慢。相手の立場を考え、緊張感を持って生活することが大切ですね。
(聞き書き・西沢よしえ)
(2011年2月26日号掲載)

=写真=結婚式で妻と記念撮影
 
倉石功さん