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22 「クール・ランニング」(1961年) 〜雪国はいいなあ

22-kinema-0205p.jpg Q やっぱり雪国はいいな、と実感できる楽しい映画はありませんか?

 A 北国を舞台とした映画には、イヌイットの人々の暮らしを撮影した1922年のドキュメンタリー映画の古典『極北の怪異』から、新潟県十日町市を舞台にした舟木一夫主演の『北国の街』に至るまで、いろいろとあります。冬や雪を題材にする映画は、クリスマスものを除くと『ヒマラヤ杉に降る雪』とか、ちょっと寂しそうな感じのものが多いですね。

 本日は一味違うものを、日本とハリウッドの映画からそれぞれ1本ずつご紹介しましょう。

 まず、『南の島に雪が降る』(61年)。第2次大戦中の実体験を基に、『七人の侍』などでおなじみの名優・加東大介が書いた原作を、笠原良三が脚色、監督久松静児で映画化した作品です。

 加東が自身で演じ、伴淳三郎、有島一郎、西村晃といった名優たちが共演しています(なお、95年に同名の作品がありますが、内容は全く違うものです。残念ながら、いずれもDVDは出ていないようです)。

 敗戦目前の南洋の戦線で、有り合わせの衣装や道具で芝居を演じる俄(にわ)か一座の芝居の一場。熱帯の島に降らす偽の雪に、雪国出身の兵士たちが涙します。冬の暮らしはいろいろ大変だけれど、それでも雪は特別なもの。雪国育ちの人なら、兵士たちの万感の思いに共感するはずです。

 さて、次に雪の国から南の島に連れて来られた人とは逆に、南の島から雪の舞台に挑む人々の映画をご紹介しましょう。

 これも実話を基にしたお話。『クール・ランニング』(監督ジョン・タートルトーブ、93年、米国)です。88年のカルガリー冬季オリンピックに出場したジャマイカのボブスレー・チームの活躍を描いた涙と笑いのスポーツ映画です。

 とにかくオリンピックに出たいというだけの動機で、ジョン・キャンディ演じるコーチの下で、雪も氷も、そりもないジャマイカでレゲエの音楽に乗って訓練する選手たち。未体験の白銀の世界での珍騒動と、奮闘ぶりがユーモラスに描かれます。

 「ちょっと、ジャマイカの人たちをばかにし過ぎているんじゃないの」と気にもなるのですが、そこはそれ。レゲエの名曲「Don't Worry, Be Happy」の哲学を持ち、人生の本当の楽しみ方を知るジャマイカ人たちのこと、あんまり心配しなくてもよいのかも。

 選手たちと一緒になって、氷の壁を駆け抜け、そりを担ぐ彼らと一緒に勝敗を超えた達成感を分かち合えば、雪国って最高って気分になれる映画です。
(2011年2月5日号掲載)

=写真=『クール・ランニング』発売元/ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン1500円


 
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