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28 台湾 野柳 〜浸食された奇岩に見応え〜

28-kaigai-0312m.jpg 台北の北東に基隆(きりゅう)市がある。この漁港の町は、ノスタルジックな九ふんの基点となる町で知られる。『千と千尋の神隠し』のモデルにもなり、映画『悲情城市』の舞台だったため、日本人ツアー客が多い。

 あまのじゃくの私は、外国では日本人ツアー客の喧騒を避け、地元でしか知られない穴場の観光地やレストランを探すことが多い。そこで駅前の案内所のドアをたたいた。すると、私たちの要望に応えて野柳(やりゅう)自然公園を紹介してくれた。

 バスの本数が少ないから、そこへはタクシーを利用することにした。料金の安さ、台湾の人たちのマナーの良さが分かっていたので、料金交渉して向かったところ、50分で1500円ほど。海岸線と奇岩が美しい。中国本土からのツアー客や韓国などアジア人が多い。北欧からもいたが、日本人には一人も会わなかった。

 遊歩道は整備され、脇道あり、灯台あり、展望台ありと散策しやすいコースだ。浸食された薄茶色の岩など変化に富んでいる。中でも、2つの岩が見ものだ。まず「女王の頭」=写真28-kaigai-0312p1.jpg。クレオパトラを思わせる大きな顔は直径2メートル以上。横向きに見れば高貴な顔が帽子をかぶっているようにも見える。首も細くなっていて、よくもまあ、うまく浸食されたものだ、と感心させられる。

 近くには監視員が立っている。言葉を掛けると「ここだけは手を触れないように注意しているんだ。もろい岩だから、あと10年もすれば倒壊するだろう」と残念そうな顔をした。「自然の摂理だから仕方ないけどね」とも付け加えた。ここは、記念写真を撮るベスト・スポットである。撮影のため、台湾のモデルの女性がポーズを決めている姿も目撃した。

 もう一つは、「ヴィトンのサンダル」=同下。波に浸食された見事なサンダルの形の岩だ。岸辺の大きな茶色い岩の上にあり、10メートルもの女性用サンダルの片方が、こちらに向けて買い手を待っているかのようだ。

28-kaigai-0312p2.jpg 他にキャンドル模様や猛禽類に似た岩も。灯台のある岬の先端まで歩いたが、誰にも会わなかった。それもそのはず、1時間の上り道で風も強い。特に見るべきものはなかった。「これも経験の一つ」と自分に言い聞かせた。

 帰路は、タクシーをつかまえにくいし、経費節減のため定期バスに乗った。1人250円ほど。車窓からの眺めもタクシーとは違う。ルートが異なり、地元の町を抜けるせいだ。地方の温泉エリアがあったり漁港が見えたり、また一つ違った庶民の生活ぶりを垣間見られるのも楽しい。

 知り合いの外国人がよく言う言葉を思い出した。「東京は日本ではない。本当の日本を知りたければ地方に行かなければ分からない。その点で長野は最高です」

 おいしかった小籠包や餃子もまた食べたいし、飲茶もいい。次回は、台中や台南の高雄や太魯三閣渓谷にも行ってみたい。
(2011年3月12日号掲載)

 
私の海外交友記