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29 韓国 ソウル 〜コミカルな武術芸に感動〜

29-kaigai-0326m.jpg キムチ、チヂミ、プルコギなどの食物、ペ・ヨンジュン、チェ・ジウ、イ・ビョンホンら韓流映画スターなど、近くて遠かった韓国がドラマ『冬のソナタ』以来、日本人になじみが深くなった。世界遺産の昌徳宮など5宮の旧跡や明洞、南大門、東大門を中心とする買い物街には日本人が群がっている。

 2009年は5月に続き、11月から12月にかけてソウルを再訪した。5月に知り合ったお店の主人との再会、それに前回果たせなかった眼鏡の購入が目的だった。韓国の眼鏡は早くて安いと評判だ。この間にもう一つ、訪れたい所があった。ナイトショーだ。

 太鼓のような楽器を中心とした"音の世界"のNANTA(ナンタ)と、古武道による"動の舞台"のJUMP。仁川(インチョン)空港からのリムジンバスのガイドの勧めもあり、後者を選んだ。2日後の予約でも普通席は完売、ロイヤルシートなら空席ありとのこと。了承した。

 開演の20分前に着いたのに、地下2階の劇場の席はもう7割ほど埋まっていた。定員600人規模の小劇場だ。開演5分前。通路につえをついた老人がヨタヨタと下りてくる。おまけに中央を埋めた日本人の席を横切ろうと"四苦八苦"している。顔をしかめる日本のおばさん。迷惑そうだが面と向かって非難じみたことは言わない。

29-kaigai-0326p.jpg 私は近くのスタッフに尋ねた。「あれはアクター(俳優)ですか」。「そうです」と耳打ち。足が震えながらステージによじ上ろうとする"老人"に観客は、芝居だと気づき始めた。定刻の16時、ステージが始まる。大音響とともに登場した6人。うち女性が2人。開脚による大ジャンプを立て続けにしながら、ハイキック、バック転や宙返り下りの連続技を見せる。完全に体操選手。いやサーカス、雑伎団のメンバーみたいだ。

 テコンドーや古武術を採り入れた、コミカルでスピーディーなパフォーマンスの1時間半。看板に「Comic Martial Arts Performances"JUMP"」とある。「コミカルな武術芸」の意味である。ストーリーは、ざっとこんなところ-。

 娘に一目ぼれした男が来る日。酒浸りの叔父のせいで家はめちゃくちゃ。花婿候補は気の弱そうな眼鏡男。武道一家の修練が始まる。そこに間抜けな2人の泥棒。組んずほぐれつの中で眼鏡男が眼鏡を外すと一転、マッチョな男に変身。泥棒退治で娘と男は両親に認められウエディングベルが鳴る、という設定だ。

 息もつかせぬ1時間半。3年前から海外公演も始め、08年はアメリカ、09年はイギリスにも専用劇場がオープンした。ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー夫妻も来館している。男女78人の俳優が交代して演じるのは、1日2回の公演がハードだから、という。特に若い人たちに抜群の人気があるというのもうなずける。

 帰りがけに私は、パンフレットと直筆サイン入りブロマイドのセットを買い、スタッフに「『素晴らしかった。感動しました』と俳優に伝えてください」とお願いした。帰国後、ブロマイドにメールアドレスがあるのに気付き、賛辞を送った。韓国のもう一つの世界に触れ、また距離が近づいた。
(2011年3月26日号掲載)

=写真=JUMPの俳優たち

 
私の海外交友記