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02 知性の働き 第1段階は「?」

 Q1 知性って何?
 A1 「分かる」とか「知る」というような行為をする精神の部分です。

 Q2 知性に「仕組み」があるってどういうこと?
 A2 ひとつの働きではなく、いくつもの働きが関連しあって一つのまとまりをなしているという意味です。食べ物の消化吸収の働きにも「仕組み」があるのと似ています。
 
 人間の持つ知的能力の特殊性について本格的に研究を始めたのは、古代ギリシャに紀元前4世紀に登場したアリストテレスという人です。アリストテレス以来、さまざまな研究が進んできたのですが、知性の仕組みの全貌について、私たちの一人一人が「確かにその通りに私の頭は動いている」と確かめることができる方法で明らかにしたのは、バーナード・ロナガンという、20世紀半ばに登場したカナダの哲学・神学者です。

 ロナガンが明らかにしたことの第1は、知性の働きとは、何か一瞬にして起こる「ひとつ」の働きではなく、「いくつも」の働きが段階を踏んで関連しあうことで「理解する」「知る」という行為が構成されている。つまり、知性は「構造」(=仕組み)を持っているということでした。

 では、「構造」とはどういうことでしょう。それは、例えば、栄養の「消化吸収」の働きと似たところがあります。「消化吸収」は「胃袋」ひとつだけで行われる行為ではなく、「口」から始まって「食道」「胃」「小腸」「大腸」など、いくつもの器官が順番にそれぞれの働きをし、それらの働きが関連しあって成立しています。それを「構造」、つまり「仕組み」と呼んでいるわけです。ロナガンは、知性の働きも、そんなふうに、いくつもの働きが組み合わさって「構造」を成しているということを明らかにしたのです。

 では、知性の仕組みの、「消化吸収」でいえば「口」にあたる働きは何でしょうか?

 皆さんがこの記事を読み始めた時、または読み始める前に左上の挿絵が目に入ってきたと思います。この挿絵が目に入った時点で、皆さんの頭の中に「?」の状態が発生しませんでしたか? 「何これ?」という状態です。その思いを「この絵、何?」と言葉にして、口に出した人もあるかもしれません。そのような状態こそが、皆さんの頭の中で、知性の仕組みの第1段階が動き出した表れなのです。この、知性の第1段階の働きに付けられている名前が「質問」です。

 では、どんなときに、「質問」という働きが発生するのでしょう? それは、私たちの目の前に、「知らないこと」「初めて見聞きするもの」「正体のわからないもの」「予期していなかったこと」などが登場するときです。この挿絵が表すものは正体不明であったはずです。ですから、挿絵が目に入るたびに、皆さんの知性は正直に、「????」と、質問状態を発生させたわけです。

 「質問」という働きの性質、重要性、問題は次回に続きます。

(2008年4月26日号掲載)
 
たてなおしの教育