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04 質問にブレーキをかけないで

 質問をするということは、知性の働きをスタートさせるための大変重要な機能です。しかし、残念なことに、その働きには、さまざまな理由でブレーキが掛けられます。それはどんな場合でしょう。

 小さな子どもは自分の身の回りのすべてが「未知」との体験ですから、頭の中は、クエスチョンマークでいっぱいの状態です。そのクエスチョンマークを言葉で表現できるようになると、質問の嵐が起こります。「これ何?」「どうして...なの?」と、矢継ぎ早に質問を口にし、その答えを求めて大人にまとわりつくようになります。

 最初のうちは親たちも子どもの成長をほほえましく思いもするのですが、例えば、夕食の準備で大忙しのときに、「おかあさん、どうして、お鍋に泡が出てくるの?」などと聞かれたりすると、「そんなことどうでもいいでしょ!」「うるさいわねえ、あっち行って」などと口にしてしまうことがありませんか?

 このような状況は、例えば学校でも起こります。小学校1年生の生徒が、1年生の算数の授業では取り扱わない項目について質問をしたとします。その授業中にその質問に答えようとすれば、予定されていた授業はストップしてしまいます。

 そんなとき、教師が「余計なことを考えるな」とつい口にしてしまうことはないでしょうか? あるいは、すでに教えたつもりのことを生徒がもう一度質問してきたとき、「なんだ、そんなことも分からないのか」と責めてしまうことはないでしょうか。

 こんなふうに、質問することで、嫌がられたり、叱られたり、ばかにされたりすると、当然のことながら、子どもは次第に質問を口にしなくなります。どうすればよいのでしょう。

 ここで必要となってくるのが、「質問を抱くこと」と「その質問を口に出すこと、あるいは、その質問に取り組むTPO」の区別です。
 区別することができれば、「いいこと聞くねー。でも今は、ご飯の準備をしなきゃいけないから、後で一緒に考えようね」「素晴らしい質問だ。だけどその質問は、2年生になって掛け算をやったら答えが出せると思うよ。それまで、その質問は大事にとっておこう」「そう、そのところ、とても大事だからもう一度説明するね。でも、この授業が終わってからゆっくりね」などと言うことができるでしょう。

 「質問を抱くこと」自体は徹底して認めて、褒める。しかし、それを口にする、あるいは答えを求めて取り組むTPOを区別する。この区別を明確にすることによって、「質問を抱くこと」そのものは「良いこと」というメッセージが子どもたちに伝わり、知性にブレーキを掛けないで済むのです。
 
たてなおしの教育