戸隠神話のヒーローは、怪力で天の岩戸を放り投げたタヂカラオ(手力男命)だが、すてきなヒロインがいる。その名はウズメ(鈿女命)!
豊満、美麗なダンスの名手だ。天安河原(あまのやすのかわら)で「世の中真っ暗で困る。アマテラスよ出てきて」と唱和した伝説では、八百万の神々の先頭で過激な踊りを披露したことで知られる。
髪に鈿(あおがい)のかんざしを付けているだけで、あとは全裸に近い姿-と古事記は記す。宗教学ではウズメはシャーマン=巫女で、神がかりする女性と定義している。アマテラスとは意思疎通ができた。
神々の会議場=天安河原での大騒ぎがアマテラスを岩戸から導き出したのだから、ウズメこそヒロイン、立役者と言ってよい。
戸隠神話では「村上天皇の天暦年中に、天の岩戸開きの一座の神様=ヤゴコロオモイカネ(八意思兼命)とウワハル(表春命)とウズメの子孫が入り来た」とする。
宝光社から中社への途中にある日之御子社(ひのみこしゃ)はウズメが祭神で、そのいわれから芸能の神様でもある。ちなみにオモイカネは漢字の通り、思慮深くアイデアあふれる神で、天安河原の大イベントを演出したといわれている。

ところで「現代の天安河原はどこか、知っていますか。東京新宿の歌舞伎町ですよ。一度行って見てごらんなさい」と戸隠の知人がささやいた。
出張のついでに教えられたミュージックホールを訪ねてみた。300席ほどが台湾や香港、韓国からの観光団で満員の熱気。男性は少数で、大半が中年や若い女性だ。舞台での演技は古事記そっくり。
ツアーコンダクターは「この劇場、実は日本旅行の目玉なんです。儒教精神が厳しい故国では、日本のような出し物など絶対に見られませんから」。
帰りに劇場の看板を見たら、「歓迎 脱衣舞3500円」と大書してあった。日本の脱衣舞は東アジア諸国でも評判になっているようだ。
(イラスト・近藤弓子)
(2009年2月14日号掲載)
豊満、美麗なダンスの名手だ。天安河原(あまのやすのかわら)で「世の中真っ暗で困る。アマテラスよ出てきて」と唱和した伝説では、八百万の神々の先頭で過激な踊りを披露したことで知られる。
髪に鈿(あおがい)のかんざしを付けているだけで、あとは全裸に近い姿-と古事記は記す。宗教学ではウズメはシャーマン=巫女で、神がかりする女性と定義している。アマテラスとは意思疎通ができた。
神々の会議場=天安河原での大騒ぎがアマテラスを岩戸から導き出したのだから、ウズメこそヒロイン、立役者と言ってよい。
戸隠神話では「村上天皇の天暦年中に、天の岩戸開きの一座の神様=ヤゴコロオモイカネ(八意思兼命)とウワハル(表春命)とウズメの子孫が入り来た」とする。
宝光社から中社への途中にある日之御子社(ひのみこしゃ)はウズメが祭神で、そのいわれから芸能の神様でもある。ちなみにオモイカネは漢字の通り、思慮深くアイデアあふれる神で、天安河原の大イベントを演出したといわれている。

ところで「現代の天安河原はどこか、知っていますか。東京新宿の歌舞伎町ですよ。一度行って見てごらんなさい」と戸隠の知人がささやいた。
出張のついでに教えられたミュージックホールを訪ねてみた。300席ほどが台湾や香港、韓国からの観光団で満員の熱気。男性は少数で、大半が中年や若い女性だ。舞台での演技は古事記そっくり。
ツアーコンダクターは「この劇場、実は日本旅行の目玉なんです。儒教精神が厳しい故国では、日本のような出し物など絶対に見られませんから」。
帰りに劇場の看板を見たら、「歓迎 脱衣舞3500円」と大書してあった。日本の脱衣舞は東アジア諸国でも評判になっているようだ。
(イラスト・近藤弓子)
(2009年2月14日号掲載)