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09 2つの「質問」2つの「ひらめき」

 ひらめきの真偽を確かめたい、という欲求は、自分自身で質問を発し、ひらめいたことについてだけではなく、他の人から「与えられた情報」についても発生します。
 
 あなたの顔を見た誰かがあなたに向かって、「額から血が出ていますよ。けがをしたのではありませんか?」と言ったとします。あなたはどうしますか?

思わず、額に指を持っていかないでしょうか? 相手は、あなたの額の血を見て、「血が出ている〔データ〕」↓「どうしたんだろう?〔質問〕」「あっ、分かった!〔ひらめき〕」に基づいて、「額にけがをしているに違いない〔ひらめきの内容表現〕」と言っているわけです。

 しかし、それを聞いたあなたは、まずは驚くでしょうが、すぐに「はい、私はけがをしています」と、相手の言ったことそのままを受け入れるのではなく、その代わりに、「えっ、本当かな?」という質問を発生させることがあります。

 つまり、額に指を当てるのは、血が付いてくれば「出血している」というデータを確認することができるだけでなく、出血の具合をさらに指でたどることによって、「けがをしているに違いない」という情報が本当であるかどうかを確かめるためなのです。

 実際、手を額に当ててみて、手に血が付き、切れた傷口に触ることができると、「ほんとだ!」というような言葉が口をついて出てくるでしょう?

 さて、ここまでの話をいったんまとめます。
知性が発する「質問」と「ひらめき」には「ふたつの種類」があります。

 (1)分からないこと、未知なもの、期待していなかったことなどのデータに接すると、知性は、「第1の質問--疑問詞がついた質問」を発します。その質問に促されて答えを求める結果、「第1のひらめき」が起こります。この「ひらめきとその表現をすること」が、日常「理解する」という言葉で表現されている知性の働きです。そして、表現された「ひらめきの内容」を、「アイデア」などと呼んでいるわけです。

 (2)しかし、第1のひらめき〔理解〕には「偽物」が混じります。そこで知性は、ひらめきの真偽を確かめるための「本当かどうか?」という第2の質問を発し、その質問に基づいて、真偽を確かめるための行為を行います。そして、確かめの結果、「あっ、やっぱり!」と、第2の「ひらめき」が起こり、第1のひらめきの内容が正しいと判断すると、単なる「アイデア」が「事実」に変わります。この時点で、知性は一つの事実を「知る(=認識する)」ことになるわけです。

 次回は、およそ2000年間受け継がれてきた一つのアイデアの間違いを暴いたガリレオのお話です。

(2008年11月22日号掲載)
 
たてなおしの教育