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17 知性は丸暗記が苦手 意味を「理解して」記憶

 教科書などから知識を借りる場合、どのようにしてそれらの知識を頭に入れますか? 暗記すればよいのでしょうか? 丸暗記すれば、空のバケツに水を注ぎ込むように、知識をどんどん頭に詰め込めるのでしょうか?

 ここで、1つの実験をしてみましょう。次の2つの数列があります。これらの数字を暗記してみてください。 

A:1 1 1 3 1 5 1 7 1 9 2 1 2 3
B:2 3 4 6 5 5 6 2 5 9 6 8 7 4

 どちらの数列の方が、簡単に記憶できましたか? Aのほうが簡単ではありませんでしたか?

 それはなぜでしょう? Aの数列をよく見ると、奇数を順番に11から7つ並べたものであることが分かります。いったん、「あっ、なんだ、奇数が並んでいるだけだ」ということが「分かる」と、それを記憶することは実に簡単です。

 ところが、Bの数列に、Aのような、何らかの規則性や意味を探そうとしても、見つけられません。そもそも、この数列は、私が適当にキーボードで数字を打ち込んだだけなのですから、何の規則性も持ってはいません。このような、「理由なく」並んでいる数字を記憶することは大変です。

 こんなとき、私たちは、どうするでしょうか? そうです。意味を付け加えて、覚えようとするのです。その意味付けの一つの方法が語呂合わせです。

 Bの数字を語呂合わせで読もうとすると、例えば、フミヨムココロニゴクロハナシ (=文読む心にご苦労はなし)などと、意味を付けることができます。そして、いったん、このように意味を付けることができると、記憶するのが大変だったはずの数列も簡単に記憶することができるようになります。歴史の勉強で年号を語呂あわせで覚えようとするのは、そういう理由です。

 「暗記」とは、言ってみれば、「ひらめき(理解)の伴わない=暗」記憶のことです。「丸暗記」と「丸」が付くと、理解がほとんど伴っていないことを意味します。

 しかし、知性は意味が分からないものを、分からないままの状態で記憶することが苦手です。ですから、知識を借りる際、私たちは、借りる知識の意味を「理解して」記憶しようとします。しかし、理解が伴わないまま、丸暗記せざるをえないとなると、記憶することは大変になり、記憶したとしても、ちょうど、ホワイト・ソースを作る際にダマ(小麦粉のかたまり)ができてしまうのと同じように、それらの知識は、頭の中を浮遊するゴミのような状態になります。

 丸暗記の問題、次回に続きます。

(2009年7月25日号掲載)
 
たてなおしの教育