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19 ひらめきを起こすイメージの蓄積と操る力

 教育の第一の役割は、「知識を貸し出す」助けでしたが、今回から二つ目の役割「ひらめきを起こしやすくする」助けについてです。まず、「イメージを起こす」助けです。

絵は視覚的イメージを提供
 簡単な計算問題はできるのだけれど、文章問題になると途端に「分からない!」と言い出すお子さんは少なくありません。なぜでしょうか。ここで問題。

「リンゴとミカンが合わせて20個あります。ミカンはリンゴより6個多いです。リンゴはいくつありますか?」

 問題を読んだだけでは分かりにくいかもしれません。では、上の図を見ながら考えてみてください。「あっ、こうやればいいんだ!」とひらめきませんか?

 ひらめきが起こるためにはイメージが必要です。イメージにはさまざまな種類(絵、音、味、触覚など)がありますが、知性は記憶の中からさまざまなイメージを引っ張り出して、それらを組み合わせたり、動かしたりしているうちに、それらのイメージの助けでひらめきが起こるのです。

 イメージの蓄積が多く、さまざまなイメージを自在に組み合わせ、変形させる力が強いと、ひらめきが起きやすくなり、その力が弱いと起こりにくくなります。

 小説を読んでいるとき、そこに描かれている情景や、登場人物の姿形をイメージし、それらを頭の中で動かしながら読み進んでいるでしょう。文章によっては、内容をイメージしにくいものがあり、そうするとひらめきが起こりにくいため、読むのを敬遠したくなるのです。しかし、ちょっと挿絵や図が入っていると、ぐんと読みやすくなります。

 小さな子どもたちは、イメージの蓄積とイメージを使う力がまだ弱いので、子ども向けの本には挿絵がふんだんに載っていますし、読書が嫌いな子が、漫画なら読もうとするのも、絵が視覚的イメージを提供してくれるため、分かりやすいからです。「漫画で読む経済」などという漫画を使った解説書などが売れるのも同じ理由です。

 文章題は、問題をイメージ化する力を養うことによって、算数の本質を深く理解させるための教える工夫です。文章問題が分からないのは、一つの原因として、その文章をイメージ化する力が弱いためです。そのままにしておくと、問題の本質を理解していないのに、数字だけを適当に組み合わせて答えを出そうとするようになり、混乱が生じていきます。その時は、その文章を絵(図)にする手助けをすることです。ゆっくりと問題を絵(図)にする訓練は、イメージ化する力を育て、「あっ、分かった!」を確実に増やします。 

(2009年9月26日号掲載)
 
たてなおしの教育