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31 振り返って(下) 〜海外旅行は習うより慣れよ〜

31-kaigai-0423p1.jpg 今回の連載では定番のパリやローマは取り上げなかったが、触れておきたい観光名所は多々ある。

 パリではオペラ座の内部、オランジュリー美術館、サントシャペルは必見。観光ツアーでは含まれていないことが多いので、個人旅行やフリータイムで訪れることをお勧めする。

 サンマルタン運河ののんびりしたクルーズも思い出になる。映画『ダ・ヴィンチ・コード』でトム・ハンクスと共演したオドレイ・トトゥが出世作『アメリ』で、小石を投げて水切りをしたのも、この運河。古典的名画『北ホテル』もこの運河沿いであった。

 オペラ座は、シャガールの天井画が圧巻。彼の青(シャガール・ブルー)は美しく、アメリカのシカゴ美術館で買った青のネクタイは時折、着けている。オランジュリー美術館は何と言ってもモネ。「睡蓮の間」で家内と1時間も座って見つめていたら、旅の疲れが取れた。

 ローマではボルゲーゼ美術館が印象的だ。ここは「アポロとダフネ」の彫刻が逸品。また大理石をひと目見て姿が浮かんだという、天才ミケランジェロの代表作・モーゼ像はサンピエトロ・イン・ビンコリ教会にある。

 教え子や知人と一緒に旅をすると、思いがけない副産物もある。生徒と親からの要望で行った3年前のスペイン・フランス17日間の8人の旅。その時の生徒の一人が昨春、母親を案内してパリを再訪したという。本人が手配した個人旅行だ。「あの時の経験が自信になった」という。

 また、中野西高英語科の生徒20人を引率していったロンドン・パリ2週間の旅では、刺激を受けた女生徒が外語大に進み、昨春、難関を突破して大手航空会社国際線のCA(客室乗務員)になっている。 

 もう一人。姉が私のクラスで、その妹が中学2年の時から、我が息子たちと一緒に英語を見てやっていたことの縁で、高校2年の年末年始にパリ、アビニョン、カルカソンヌなどで異文化体験をしたことが「外国に行っても萎縮せず、大きな自信になった」と大学・大学院に進学。今や社交ダンス(プロ・スタンダード部門)の世界大会で活躍。昨春、日本インターで日本人1位になった選手こそ、上田市出身の恩田恵子さん(30)=写真下。

 ドイツのロマンチック街道やフランスのロアール古城巡りなどは、シニア世代向けのお勧めコース。そんな時、日本人だけでなく地元の人たちと一緒に写真を撮ると、後で楽しみも倍加する。「一緒に写真を撮りましょう」の会話文を用意しておくといい。

 若いうちに異文化体験をしておくことが、グローバルな視野を持つのに有用だと痛感する。そのために、海外での安全対策のイロハを事前に学習しておくことも肝要だ。自分好みの画家や食べ物などを見つけるとともに、外から日本の良さと疑問点を再認識する。偶然による楽しい出会いが待っているかも。

 ら致被害者の蓮池薫さんが言うように「(旅は)新たに生きるための視点とパワーを得る」ことができ、「旅先での人との付き合いは、その後の人間関係をうまくやっていく上で大きな知恵になる」(『半島へ、ふたたび』より)。最初は団体ツアーでもいい。「習うより慣れよ」Practice makes perfect.なのだから。
(2011年4月23日号掲載)

=写真=現地では地元の人たちと一緒に写真を(フィレンツェ)


 
私の海外交友記