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31 体験的に知っている 知性のアンテナを内面に向ける

 ひらめきが発生するためには、知性の中に一定の「空き容量」が必要です。

考えるスペース
 コンピューターを使用していると、時間の経過とともに、動きが鈍くなってきます。立ち上がりが遅くなったり、プログラムの動きに時間がかかったりするようになります。そんな状態が発生する主な理由は、データなどが多くたまりすぎて、コンピューターがそれらのデータを処理するために必要な容量が足りなくなるからです。

 知性は、目覚めている間は五感を通じてデータを取り入れていて、そのデータの内容について理解を起こすためには、コンピューターと同じように「考えるスペース」を必要とします。言い換えると、いくらデータをたくさん摂取しても「考えるスペース」が少ないと、ひらめきは発生しにくくなります。

 何かについて質問が浮かんで、その問いに答えを見いだしたい時に、目の前でほかの人たちが話をしていたり、テレビがついていたりすると、「考え事をしているので、ちょっと静かにしてくれない」とか、「テレビの音を少し小さくして」とか言うことがありませんか? 

 それは、ひらめきを発生させるためには、知性のアンテナを外界からなるべく切り離して自分の内面に向け、考えるためのスペースを確保する必要があることを体験的に知っているからです。

 英語に「elbow room」という言葉があります。「ひじを動かすことができるゆとり空間」といった意味なのですが、これに「mental(メンタル・精神の)」という語を付け加えて、「mental elbow room」とすると、ここで言う「考えるスペース」を意味し、「I have little mental elbow room now.(今、考える余裕があまりないんだ)」というように使います。

 子どもの知性が発達するためには、一定量の情報摂取が欠かせません。しかし、情報量と摂取するために費やす時間が増えれば増えるほど、子どもたちの「mental elbow room」は少なくなっていく危険があります。つまり、目覚めている時間を、いわゆる「外界」と交わること(さまざまな活動への参加、テレビやゲーム、インターネット、携帯メールのやりとりなど)に使うことで忙し過ぎる時、ひらめきを起こす可能性は減っていくのです。

 子どもたちに「考える力」をしっかりと身に付けさせたいと思うならば、「この時間からはテレビを消そう、携帯の電源を切ろう」と、mental elbow roomを確保する協力態勢について家族で話し合ってみることをお勧めします。

(2010年9月25日号掲載)
 
たてなおしの教育