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32 繰り返して使い続けるスピーディーに応用

 ひらめきによって理解した内容は、同じ種類のひらめきを繰り返すことによって定着し、さらにひらめくスピードが速くなります。

理解の定着
 圧力鍋を初めて使用する時、マニュアルと首っ引きで、指示されたとおりのやり方で恐る恐る火にかけます。しかし、一つの料理が出来上がって「なるほど、こういうメカニズムなんだ。簡単じゃない!」と理解が起こると、うれしくなり、今度は材料を替えて、あれやこれやと圧力鍋料理を作りたくなります。そして、使い続けていると、難しそうに見えて使うのをためらいがちだった圧力鍋を、日常の調理器具の一つとして、不自由なくスピーディーに使いこなすことができるようになります。

 しかし、一度使って満足し、繰り返して使用せずにしまいこんでおくと、しばらくしてもう一度使おうと思った時に、「えっと、どう使うんだったっけ」と、もう一度マニュアルをめくらなければならず、面倒くさいなと感じて、再びしまい込む羽目になったりします。

 この差は「繰り返し使い続ける」か否かがポイントです。

 ひらめきによって、知性は、それまで知らなかった物事の仕組みを理解します。しかし、そのひらめきがとらえた内容が自分の頭に定着する。つまり、理解した内容が、自分の頭にすでに蓄積されたほかの理解とつながって全体が組み直され、新しい知識をその全体の一部として自由に使えるようになるためには、もう一つのプロセスが必要です。

 それは、理解した仕組みを利用して、同じような問題に何度も取り組むことです。同類の問題に何度も取り組み、同類のひらめきを繰り返すことによって、最初のひらめきがとらえた仕組みの理解はほかの知識の中に組み込まれて定着し、その後、苦もなく、スピーディーに応用して使えるようになります。

 そのために、練習問題が必要なのです。

 算数の問題に取り組む子どもたちが抱く不満の一つは、たとえば、「分数の仕組みはもう分かったのに、どうして練習問題をこんなにいっぱいやらなくちゃならないのさ」というものです。そう言われたら、「練習問題をまず一問だけでいいからやってごらん」「あっ、さっきより簡単に分かった!」「そうでしょ。じゃあもう一つ」と、練習問題のジェットコースターに、お子さんに気付かれないようにそっと乗せてあげてください。

 いったんコースターが走り始めたら、「あっ、スラスラできる。面白い! お母さん、もういいよ、後は自分でやるから」となる確率大です。

(2010年10月30日号掲載)
 
たてなおしの教育