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33 当たり前のことを繰り返し褒める

 前回述べた「繰り返す」練習以上に必要となるのが、「褒める」ことです。

「考える」レールに戻す
 このコラムの最初の方で、「ひらめき」は知性にとって「おいしい」体験であることを説明しました。おいしいものは繰り返し食べたくなるのと同じように、「あっ、分かった!(=ひらめき)」は大変強い快感をもたらす経験なので、ひらめきが起これば起こるほど、頭を働かせることに喜びを感じるようになります。

 しかし、なかなかひらめきが起こらないと、考えること自体が苦痛となり、問題に取り組むことから逃避するようになります。「分からない」→「考えたくない」→「さらに分からない」→「勉強したくない」という悪循環が起こり始めます。

 そんな悪循環からお子さんを助け出すために力を発揮するのが「褒める」という行為です。「褒める」にもいくつものステップがありますが、その第一が、できて当然と思われるような「当たり前のこと」を「繰り返し褒める」ことです。

 毎日(多くの家庭では母親が)作っている夕食。家族にしてみれば、いつの間にか「夕食が出てくることは当たり前」になってしまいがちです。当たり前になると、食べる側では、それは「褒める」に値することではないと考えてしまう。そして、当たり前のことだからと褒められないで作る側は、毎日の献立を「考える」ところから苦痛に感じ始めます。しかし、いつもどおりのおみそ汁なのに、「おいしいね」の一言があったとき、「(その一言を聞きたさに)明日も頑張って作ってみよう」と、気持ちが前向きに切り替わるのを経験したことがあるでしょう。

 勉強に関するお子さんの日常には、当たり前のように見えて、よく考えてみると実は「大したこと」がごろごろ転がっているのです。その当たり前のことに小さな褒め言葉をくっつけてあげてみてください。

 ノートと教科書をちゃんと机の上に広げた「エライ!」。字を丁寧に書いている「きれいだね! この字が特に上手」。文字の下に引いた線が真っすぐ「気持ちいいね!」

 これらの行為は、通常、それができていないときにしかられる対象とはなっても、できたときに褒められることはあまりないのが実情ではないでしょうか? しかし、これらの行為を「褒める対象」として注目し、小さな褒め言葉を繰り返すことが、「考える」レールから脱線したお子さんの心をもう一度レールに戻す助けの最初のステップとなります。

 当たり前のことを褒め、褒められた後のお子さんが、ほおを紅潮させて問題に取り組み始めるのをどうか観察してみてください。

(2010年11月27日号掲載)
 
たてなおしの教育