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34 小さなことでも質問したことを褒める

 「褒める」の次のステップは、「質問することを褒める」ということです。

 ひらめきが起きるためには、まず「分からない状態」があることが必要です。分からない状態を解消しようとして「何だろう」「なぜだろう」と質問が起こり、その結果ひらめきが起こるのです。ですから、ひらめきを増やすためには、質問を増やさなければなりません。

 ところが、「質問を口にすること」はいけないことであると考えている子どもたちが少なくありません。
 「分からない↓質問する」ということは、「おなかがすく↓食べ物を求める」と同じように、人間が成長する上で、欠かすことのできない重要な働きです。空腹が起こることを恥じる人も、責める人もいません。子どもたちは、おなかがすけば、大きな声で「おなかすいた!」と遠慮なく口にします。

 しかし、分からないとき、どうして「それって、どういうこと?」と言いづらいのでしょうか。それは、質問すると、「分かっていない状態」を責められることがあるからです。しかし、それは、「おなかがすくなんてけしからん」と責められるのと同じことで、おかしなことなのです。

 「聞くは一時の恥、聞かぬは末代の恥」ということわざは、「分からないことはなるべく早く質問して理解した方がよい」ということを意味していますが、「一時」であれ、質問することが「恥」であると経験してしまうと、子どもたちは簡単に"質問恐怖症"に陥ってしまいます。

 授業中に一つの質問をしたところ、「なんだ、そんなことも分からないのか」と言われて、その後質問を口にすることができなくなったケースはまれな例ではありません。『今さらひとに聞けない○○』という題名の本が売れることは、質問することで嫌な体験をする傾向が、年齢が高くなるとともに強くなってくることを示しています。

 質問恐怖症から子どもたちを救い出すためには、どんな小さなことでもよいので、「(分からないことを)よく聞いたね」「大事な質問だね」などと、質問を褒めることです。池上彰さんのテレビ番組における「いい質問ですねえ」という決まり文句が今年の流行語大賞を取った背景には、「質問を大事にすることの重要さ」について視聴者の新たな発見と共感があったからではないでしょうか。

 それでも、うちの子は質問を口にしないって? そしたら、まず親が質問することです。「あのさあ、『タンプレ』って何のこと? お父さん分からないんだ」。お子さんは喜んで教えてくれるはずです。

(2010年12月25日号掲載)
 
たてなおしの教育