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38 「丸暗記」から「理解暗記」への切り替えに問題生じる

 「英語のたてなおし」に際して、まず強調したい第1のポイントは、もし、あなたのお子さんが(または、あなた自身が)「英語が苦手」と感じているとしたら、それは、多分、「能力」の問題ではなく、勉強の「仕方」の問題であるということです。

 歯車は、いくつかの歯車の歯が、互いにしっかりとかみ合っていないと、力を伝えることができません。歯がしっかりしていて、すり減っているわけではなくても、かみ合わせがずれたり、外れたりしていると、うまく回転しません。

 学習にも同じことがいえます。教える側も一生懸命。学ぶ側も一生懸命。それなのに、学習効果が上がらないとしたら、それは、「学習する」という行為についての「想定(学ぶときにはこんなふうに頭が働いているのではないか、という想像)」という歯車と、「学習する」とき、知性に「実際に起こっていること」という歯車がうまくかみ合っていない可能性が高いのです。

 歯車の食い違いの最初は「記憶の種類」についてです。

 自分がそれによって生まれ育った言語のことを「母語(ぼご)」といいます。母語と外国語の違いについて、まず気が付くことは、物事を表す単語そのものが異なるということですね。

 例えば、日本語の「りんご」は英語で「apple」です。ですから、英語を学ぶ最初は、さまざまな物事を英語の単語で置き換え、それを記憶していくことでしょう。「花」は「flower」、「鉛筆」は「pencil」というように。そして、これは、「丸暗記」が力を発揮する領域です。

 小学校中学年くらいまでの子どもたちの知性は、いわゆる「丸暗記」がとても得意です。ですから、乾いた砂が水を吸い込むように、英単語を暗記していくことができます。

 しかし、母語と外国語の違いについて、次に気が付くことは、さまざまな言語は「単語」が異なるだけではなく、「仕組み」が異なるということです。

 全ての言語には、「文」を組み立てるルールがありますが、言語によってこのルールが異なっています。ですから、外国語を学ぶには、自分の母語とは異なったルールを学ぶということが重要になります。しかし、異なったルールを学ぶということは、「丸暗記」から「理解記憶」へ記憶の種類を切り替えていく必要があります。この切り替えに問題が生じることがあるのです。
=この項続く=

(2011年4月23日号掲載)

 
たてなおしの教育