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04 〜市長の調停案で駅前拡張〜

41-kyoudoshi-0521p.jpg 1935(昭和10)年1月、藤井市長は懸案であった長野駅前拡張について、内務、鉄道両省の了解を得るために上京し、その成果を次のように語りました。

 「駅前拡張工事320坪にさらに60坪を追加する件については了解が得られたが、その着工時期は未定。従って土地買収については、まだ確たる方針は定まっていない」

 駅前拡張で最大の難問は何といっても土地買収の問題でした。敷地買収には多額の費用を要し、中でも駅前の五明館食堂や山屋旅館、清水屋支店、柳屋旅館などの移転が、どうしても必要な条件になっていました。

 長野市はこのために34年秋、予算10万円(うち市費4万8450円、県費補助3万6550円、地元負担1万5000円)を計上し、この事業の推進を図りましたが、市側と地主側の意見は対立し、交渉は難航しました。

 地主側の主張
 ・買収価格
  平均坪単価500円
  最高坪単価800円
 市側の主張
 ・買収価格 
  最低坪単価119円
  最高坪単価183円
 ・市の提示価格に応じない場合は「長野駅を鶴賀裏へ移転」
  「土地収容法」を適用(35年7月)

 両者は激しく対立し、関係数カ町の区長連から駅舎移転見合わせの陳情がなされ、責任を持って地主側説得の役割を買って出ましたが成功しませんでした。
そこで、最終的に35年9月21日の市会協議会で「長野駅前拡張問題紛争調停案審議」が行われました。

 調停案は藤井市長から提出され、その内容は交渉決裂前に市が地主側に示した買収補償額より1万721円の増額となっていました。審議の中で一、かかる前例を開くことは今後の都市計画事業の遂行上、重大な禍根を残しはしないか。二、調停案を承認するとしても、一般市民に疑惑を招かないために声明を出す必要はないか-。との意見が出され議論は沸騰しました。討議2時間にして市長調停案が承認され、長野駅前拡張事業は具体化することになりました。
(2011年5月21日号掲載)

=写真=拡張直後の長野駅前広場