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26 「ザ・プレイヤー」(1992年) 〜最高のオールスター映画は?

26-kinema-0604p.jpg Q 最高のオールスター映画は何ですか?
 A 映画の場合、野球とは違い、2人しか出てこなくてもオールスターです。

 例えば、ジョン・ブアマン監督の野心作『太平洋の地獄』(1968年・米国)には、名優リー・マーヴィンと三船敏郎の2人しか出てきません。

 英国を代表するローレンス・オリビエとマイケル・ケインが火花を散らす『探偵スルース』(ジョセフ・L・マンキウィッツ監督)も、元は舞台劇ですからキャストは6人ほど。ほとんど2人芝居ですから、オールスターみたいなものですね。

 でも、ご質問の意図はきら星のごとく、次々にスターが出てくる絢爛(けんらん)豪華な映画ということでしょう。

 ヘンリー・ハサウェイ、ジョン・フォード、ジョージ・マーシャルの3人の名監督が競作したオムニバス映画『西部開拓史』(1962年)は、そうした絢爛豪華なオールスター映画の代表です。ヘンリー・フォンダ、ジョン・ウェイン、グレゴリー・ペック、ジェームズ・スチュワート、リチャード・ウィドマーク、キャロル・ベーカー、デビー・レイノルズ...。しかし、この映画はシネラマなので、家庭で見るにはちょっと不向きかも知れません。

 お薦めは、くせ者ロバート・アルトマン監督の『ザ・プレイヤー』(1992年米国)です。

 ティム・ロビンス演じるハリウッドの大手映画会社のプロデューサーが、何者かに脅迫を受ける物語の導入。冒頭の8分にも及ぶ長回し1カットの中で、ハリウッドの映画製作の仕組みが見事に説明されます。アルトマン監督らしい辛口のユーモアにあふれたミステリー仕立ての内幕ものですが、映画の中で揶揄(やゆ)されているハリウッド製映画を代表するスターたちが次々にスクリーンに現れます。

 刑事役のウーピー・ゴールドバーグのような物語の人物としてだけでなく、本人としても驚くほど多くのスターが登場します。一体何人のスターが出てくるのか、(実際にはカットされたスターや、クレジットされていない超大物もいますが)数えてみるだけでも楽しめます。

 極め付きのお楽しみは、登場人物が話題にするものの、なかなか登場しない、当時旬のスターが「あっ!」という形で出現する時の新鮮な驚き。そして、それに続く皮肉たっぷりのオチに爆笑しつつ、「うーん、やられた」と脱帽する瞬間です。

 ただし、ご用心ください。よっぽど耳を澄ましていないと、私同様、映画のラストで、夜も眠れないほど気になる疑問を抱え込んでしまうことになりますから。
(清泉女学院大学教授)

=写真=『ザ・プレイヤー』発売元/パラマウント ジャパン 2625円

 
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