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03 テレビ出演 〜折り鶴を実演して大反響〜

03-srilanka-0604p.jpg 「日本の折り紙を紹介したいので出演してほしい...」。日本語講師を始めてしばらくすると、コロンボのテレビ局から出演要請がきた。折り紙授業の評判が首都にまで伝わったらしい。生まれて初めて、それも南国の島でテレビデビューとなった。

 午前3時に通訳を兼ねた公務員のカピラ氏と出発。払暁に始発バスに乗った。5時間半かかってテレビ局入り。事前の打ち合わせに1時間余。ドーランを塗るのも初体験。着替え室に連れていかれたので、ハゲ頭をたたいて「カツラはありませんか」とやったら、スタッフがどっと笑って大受け。

 スタジオ入りして、マイクテスト。「本日は晴天なり、本日は...」。日本語で繰り返したらOKとなった。いよいよ本番。新聞紙で折ったカブトを頭に載せ、手元の机上でツルやフクラスズメを折りながら、女性キャスターの質問に答えたが、何をしゃべったか、上がってしまって皆目覚えていない。

 ツルを折り上げ、腹にプーと息を吹き込むと拍手喝采だった。これには大きな理由がある。スリランカはモンスーン地帯で、季節ごとにツルをはじめ各種渡り鳥のルートで中継地だ。

 とくに優雅なツルは北部聖地の神の元に通う使者と信じられ、インドの牛と同じく聖鳥だ。一枚の紙から聖鳥ツルを折り上げる「マツキ先生は、神様...仏様...」ということになる。

 さらに不思議なことに、この国には"紙をきっちりと折る"習俗、文化がないのだ。「ふたつに折りなさい」と言うと、空中で適当に折って終わり。

 四角な紙を折り、正方形を作るのもいい加減だ。机や台の上で紙の端と端、角と角を合わせることができない! 「民族、習俗、文化の違いとは、こういうことなのか」。目からうろこ...の思いだった。特異な日本文化のすごさを、この年になって実感した。

 番組が終わった途端、テレビ局に電話が殺到した。「うちの学校にも来て、教えてほしい」。異口同音にそんな内容だったという。あや取りもやってみたいが、誰か協力者はいないだろうか?
(2011年6月4日号掲載)

=写真=新聞紙のカブトをかぶりスタジオで折り紙