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39 丸暗記は九官鳥の記憶 〜言葉のつながり方の関係 ルール(文法)に基づき理解〜

 「丸暗記」は九官鳥の記憶です。九官鳥の記憶の特色は、覚えた文句の構成要素の使い回しができないということです。使い回しができないのは、言葉の「意味」とつながり方の「関係」を理解していないからです。

 九官鳥に「おかあさんだいすき」と、一言覚え込ませたとします。その九官鳥の前へ「お父さん」が顔を出したら、「おとうさんだいすき」と言ってくれるかといえば、それはあり得ないことです。

 なぜなら、九官鳥が記憶しているのは、「okaasandaisuki」という「音」であって、その音の含む「意味」や言葉間の「関係」ではないからです。

 「おかあさんだいすき」というフレーズは「お母さん」という具体的人物を指す言葉と「大好き」という感情を表す言葉で成り立っています。そして、「お母さん」と「お父さん」は同じ種類の言葉ですから、それらを入れ替えても意味が成り立つことが分かります。

 人間の子どもが、「お母さん大好き」と言えるようになると、「お父さん大好き」とも言えるようになるのは、単語という部品を、一定の「組み立て方のルール(文法)」に基づいて組み合わせ、入れ替えると、いろんなことを表現できるようになる、という「関係」を「理解」できるからです。

 赤ちゃんは、「単語」だけではなく、この「組み立てルール」を、何年もかけて少しずつ理解し、母語を使えるようになるのです。

 「めし」と言うだけで、目の前に食事が出されるというような、単語一つで成立するコミュニケーションもあります。しかし、これは特殊な例であって、言葉によるコミュニケーションのほとんどは、2語以上の単語が組み合わされて成立しています。2語以上の単語を組み合わせる必要がある限り、単語の組み合わせ方のルールの理解が必要になってくるのです。

 「文法なんて分からなくても、話せる」ということを耳にすることがあります。しかし、文法を理解せずにできるコミュニケーションは、あくまで、「めし」「ふろ」「ねる」のレベルです。

 また、「英語のフレーズは丸暗記してしまえばいい」と聞かされてきた方も少なくないと思います。しかし、丸暗記は「理解の伴わない記憶」。つまり九官鳥の記憶とあまり異なりません。丸暗記のフレーズは、「お母さん」の代わりに「お父さん」が出てきたら、もうそこで使えなくなるのです。

 皆さんが獲得したい英語の実力のレベルが、九官鳥や無口なお父さんの「ひとことコミュニケーション」以上のものであるのならば、「単語」から「文」を組み立てる「ルール(文法)」の理解が欠かせないのです。
(2011年5月28日号掲載)
 
たてなおしの教育