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05 英語教育 〜官民共にエリートは堪能〜

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 小鳥の声とともに起きて朝もやの中を散歩するのは、とても気持ちがいい。行き会う人々から「ハーイ」「グッドモーニング」などと声を掛けられる。当初は、こちらから声を掛けても「ウン」とか「アア」とかで、張り合いがなかった。理事のメニケさんいわく「こちらでは、声を出してあいさつする習慣がないのです」。


 一般には欧米流の握手が浸透している。友人同士が出会うと「久しぶりだね」と両手を握り合ったまま、延々と話し続ける光景が日常茶飯。最初はホモが多いのか...と誤解し、笑われた。


 おはよう、こんにちはは「アーユーボーアン」という。招かれた儀式などで時々聞く程度だった。たまに「ハロー」「ハワユー」という言葉を掛けられる。「アイアム ファイン。ハウアーユー?」と返しても、後が続くことは少ない。英語教育は盛んで、流暢(りゅうちょう)に話す子どもがいる一方、まったく話せない人も多い。


 こんなこともあった。私は日本語の「おはよう」を子どもたちに教えようと思った。初めはたどたどしくも「おはよう」と言っていたが次第にあやふやになり、「はあよう」から最後は「ハウアーユー」になってしまった。


 路上で会った女性と片言の英語で立ち話をしたら、仏教の大切さ、英語教育の重要性などを説かれた。


 ご当地の仏教と日本の仏教について話したら面白いだろうと思っても、こちらの貧しい英語力では、なかなか高尚な問題には入り込めない。


 植民地時代を知るお年寄りは、格調高いキングズイングリッシュをしゃべる。八百屋で「キャベツを欲しい」と言っても通じないことがあって冷や汗をかいた。「こちらの英語はシングリッシュ=シンハラ人の英語=だから、分からないのは当たり前」と慰められた。


 陸軍キャンプの司令官を友人と訪ねたことがある。シンハラ語で座談していたところに、電話がかかってきた。司令官は最初シンハラ語で応対していたが、突然、英語に切り替え、直立不動で話し始めた。


 後で聞いたら、電話をかけてきたのは大統領だったとのこと。官民共に、エリートは英語に堪能でないと出世できない。


 小国では、大統領が軍の大将を直接指揮し、大統領夫人は国の幼児教育に心配りをしていることも知った。

(2011年7月2日号掲載)


=写真=陸軍キャンプの司令官から記念のメダルをもらう