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41 中2の半数以上が英語苦手

「丸暗記」から「理解記憶」へ切り替えそこねて生じる"苦手" 


 前回からの続きです。 英文法の土台がきっちりと組み上がらない理由の第一は、文法を丸暗記しようとするからです。


 教育事業を展開しているベネッセコーポレーションが、2009年に全国の中学2年生約3000人を対象に、英語学習についての実態調査を行いました。それによると、英語の勉強を「最もやる気が高かった時期」は「中学1年の初め」という回答が43・6% で、「中1の夏休み」以降は数%に激減しています。


 また「英語が得意か苦手か」に「苦手(とても+やや)」と答えた61・8%の生徒のうち、77・7%が「中1の後半」までに「苦手と感じるようになった」(48・0%)と答えています。さらに「つまずきやすいポイントは何か」(複数回答の)には、78・6%の生徒が「文法が難しい」と答えています。


 つまり、中学に入った当初は、英語学習にやる気があったのに、主に「文法が難しい」という理由で、中学1年の後半では約半数の生徒が英語を苦手と感じているのです。なぜ、こんな事態が発生しているのでしょう? そして、難しいのは本当に「文法」なのでしょうか?


 英語のEレベルは、単語(Hello)あるいは決まった短いフレーズ(Thank you)でのコミュニケーションレベルですから丸暗記が通用します。例えば「ワッチャネーム?」と自分を指さして言われたら、とりあえず自分の名前を「まりこ!」と答えておけば「通じ」ます。しかし、この場合「通じた」のは、ネームという「単語」の意味と、自分を指し示すという「ジェスチャーや相手の表情」の意味を理解したからであって、What is your name?  という文の仕組みを理解したからだとは言えません。それが証拠に「ワッチャネーム」と言わなくても、相手を指さして「ネーム?」と言うだけでも、名前を聞き出すことはできます。


 しかし、EからDレベルへ移行するということは、「ジェスチャーや表情」の意味の理解から、「文によって伝えられる」意味の理解へ移行するということです。記憶の種類としては、「(単語やフレーズの)丸暗記」から「(文の仕組み=文法の)理解記憶」への移行を意味します。この違いを知らないまま進もうとすると、D以上のレベルの英語を勉強しようとしているにもかかわらず、その勉強を「丸暗記」でしのごうとするようになります。


 丸暗記が通用しなくなり始めるのが、中学1年の夏休みころです。先に述べた中学生の現実は、英語の理解を「『丸暗記』から『理解記憶』へ切り替えそこねることによって生じている」と言えないでしょうか? 

 今、日本の中でこの現実への対応が2極化してきているのです。


(2011年7月23日号掲載)

 
たてなおしの教育