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32 「死」とどう向き合うか4

 高齢者人口がどんどん増えている。65歳以上が2100万人を超え、全体の割合は24%。高齢者1人を4人で支えることになり、この割合はさらに増え続けるのだという。


 老後一番の心配事は

 『禅の友』という小冊子で佐橋慶女(けいじょ)さんの「風鐸(ふうたく)」を読んだ。それによると老後で心配なのは、


1位 自分や配偶者に介護が必要になったとき

2位 生きがい

3位 生活費


だという。「なるほど」と思い、同感もする。「老後、誰とどこで暮らしたいか」では、生活に便利で、静かな環境を望むとあり、誰と暮らしたいかは、


1位 夫婦だけ

 男性がより多く、女性のほぼ2倍。

2位 友人や仲間 

 女性がより多く、男性の2倍以上。

3位 子ども 7% 

 子は頼りにならない。

 どこで暮らしたいかでは、


1位 住み慣れた家

2位 ケア設備の整った高齢者施設


 後は省略するが総じていえば、夫は妻に自宅で世話をしてもらいたいと願っており、妻は夫や子どもより友人や仲間と気楽に過ごしたいと望む。女性の多くは血縁よりも友人、仲間の有縁を大切にしたいという意見が圧倒的のようだ。


 誰に面倒を見てもらおうか(男性)

 どうやって面倒を見ようか(女性)

 朝日新聞の報道記事の「老いる」=吉永みち子さんから吉沢久子さんと岡田信子さんへのインタビュー=から。


 ○誰に面倒を見てもらおうかというのが男性なら、どうやって面倒を見ようかというのが女性(吉永)


 ○男女ではまったく違う。女の人は何かしようとするけれど、男の人はじっと座っていることが多い(吉沢)


 ○一人になってやっと自分のことに手が回る。一人で食事をする毎日が始まる。それをどう受け止めるかが老いの孤独の最初の関門かな(吉永)


 ○一人の食事が寂しいと感じるか、やっと自分の好きなものが食べられると楽しく感じられるか。一人になって寂しいと毎日言っていて、だんだん顔が暗くなっていくのを見て、自分でもこれはいけないなと思って...。ただ、あまり自分の自由になるのもいけない(吉沢)


 ○一人でいて感じる孤独もそうだが、健康の不安、最終的に迎える死の問題と「老い」を考えると、不安の素はいくらでも湧いてくる(吉永)


 ○まず健康ということで「がん・ぼけ・寝たきりを同時に防ぐ16品目」をできるだけ食べる。震災や事故、自分の家を忘れたときのために、個人的な情報を書き付けて冊子にして持ち歩いている。預貯金、血液型、病歴、家までの地図、連絡先、遺言書、お金(葬儀の際にお世話になった方々へのお礼)。いつ何があるか分からない。言い残したいこと、自分の背景、処理してほしいこと。すべてまとめてある「べんり帳」。「遠くの親戚より近くの他人」からもう一歩。「近くの他人より手元のお金」(岡田)と、笑わせもする。


 ○すごくシビアだが一人で生きることをしっかり見つめると、究極そういうことになりますね(吉永)


 苦笑している男性の顔が見えてくる。男性には妻より先に死にたいという声が多い。偽りのない声であろう。どうやら男性は、老後については女性に頭が上がらないようだ。


 漫画家のやなせたかしさんは、高齢者を「幸齢者」と書いた方がよいと言っている。高齢者をマイナスイメージだけで捉えるのはよくない。若ければ幸福というわけでもないのだから。

(2011年8月20日号掲載)

 
美しい晩年