007 乳がん手術 ~早期は90%以上治癒 体への負担も少なく~

 乳がんは増加傾向で、日本人女性の18人に1人がかかるといわれています。


 乳がんに限らず早期発見、早期治療こそが、がんの克服に重要です。がんの大きさが2センチ以下で、わき(腋窩=えきか)のリンパ節に転移のない早期乳がんは90%以上が治ります。


 増える乳房温存

 現在、乳がん治療に最も有効な治療法は手術であり、乳房を全て切除することが手術の基本ですが、小さな乳がんでは、乳房を一部切除するだけの乳房温存手術が可能になっています。2010年に当院で手術を行った111人のうち、80%近くの85人が乳房を温存できました。


 センチネルリンパ節生検

 また、乳がんの手術では一定範囲の腋窩リンパ節を取ること(郭清)が基本ですが、郭清を省くためにセンチネル生検を行うことが多くなってきました。乳がんは腋窩に向かうリンパ管に入って転移していきますが、必ず関所のような存在のリンパ節が腋窩には存在します。それがセンチネルリンパ節です。


 手術中にリンパの流れを捉え、センチネルリンパ節を見つけて摘出して検査に提出します。1〜数個のリンパ節が摘出され、この中にがん細胞があるかないかを病理医が調べます。この検査を生検といい、手術中に診断されます。


 センチネルリンパ節にがん細胞がなければ、それより先にがんが及ぶことはないので郭清を省きます。郭清を省けば痛みの軽減やリンパ浮腫の予防が期待できます。


 10年には94人にセンチネル生検を行い、うち85人は郭清を省くことができました。郭清を省いた乳房温存手術では、手術翌日からシャワーを浴びることが可能で、最近の手術後の入院期間は4日前後です。


 検診の受診を

 当院では、センチネル生検を乳がん手術全てに行っているわけではありません。超音波検査、CT検査、MRI検査で腋窩リンパ節の転移がない人を対象にしています。また、しこりの大きさが4センチを超えると乳房温存手術の対象から外れます。


 つまり、早期もしくは早期に近い乳がんでは、治癒が望めるだけでなく、体への負担が少ない手術が可能になり、抗がん剤を使う機会も減ります。検診を受けて早期発見を心掛けてください。

(2011年9月3日号掲載)


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=西村 秀紀

乳腺外科部長兼呼吸器外科部長=専門は乳腺、呼吸器


 
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