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09 電力事情 〜度々の停電も意に介さず〜

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 停電は日常茶飯事で、この国の人々は意に介さない。私の住んでいる所では、ご飯はガスかまきで炊く。商店にレジはない。水道は自然落下を旨とする。本は昼間読めばよい!...電気がなくても、ほとんど不自由は感じない。


 電力事情を気にしているのは、パソコンやコピー機をよく使う私ぐらいだ。


 パワーが足りないから、夜間の照明は時々暗くなり、落雷による停電もしばしばだ。「この国の電気はどこから調達しているのか」と尋ねたところ、教え子が近くの山中にある工事中の水力発電所の見学を取り計らってくれた。


 一般の電力は雨季には水力、乾季は火力で賄う。国民の生活水準はどんどん上がっているので、電力の確保、拡充は重要な政策課題だ。


 関係者4人で見学したのは、イギリス人が避暑地としていたヌワラエリヤの近くに建設中の発電施設だった。事務所でプロジェクターを使って事業全体の説明を受けた。


 総工費約400億円。高さ35メートルのダムを建設し、発電所まで13キロを導水、7万5000キロワットの発電機2台を回す計画だ。5年前に着工したが、完成は未定という。上流の水没地域の買収や護岸整備が進まないためだ。


 スリランカには法的な公図がないので、「ここはオレの土地」と手を挙げた人のものになる! 元請けは前田建設と西松建設のJV(共同企業体)。佐久間ダムが発電能力35万キロワットだから、かなり大きなプロジェクトだ。


 ダムサイトまで長い山岳曲路が延びる。沿線の開発に貢献し、住民には多大な恩恵をもたらした。導水管は直径5メートル。発電機につながる水圧管路の標高差は400メートル。水圧管路は「高圧に耐える鉄板を日本から運び、陸揚げして半円形に加工、現地で管路に組み立てた」と鉄管・鋳鉄管のメーカー、栗本鐵工所社員の説明だった。


 神社の棟木の上にある鰹木(かつおぎ)をトンネル入り口の上に置いて安全を祈りながら、酷暑の地で頑張る日本人を見て誇りに思った。娯楽施設も居酒屋もなく、もっぱら読書で時間をつぶしているとのことだった。


 今春、巨大地震と原発事故で大騒ぎの日本を後にし、現地入りした私だが、東南アジアの新興国のエネルギー政策は気になる問題だ。工業大国を目指すベトナムは原発建設をさらに進める方針だ。人口2000万人強のスリランカだが、自然・再生エネルギーだけで電力を賄えるとは思えない。



=写真=見学に訪れたダムサイトで