008 頭部外傷 ~危険な場合は搬送 緊急手術で血腫除去~

 私たち脳神経外科や救急科では、転倒、転落や交通事故などで頭頸部を打った人を多く診療しています。


 患者さんの中には、受傷時に意識消失を伴わない程度の頭部打撲でも、脳の損傷が心配となり受診される人がいます。このような場合、外来の診察やレントゲン、CT写真で異常がなければ、特別な持病のある人以外はその後、異常事態になることはほとんどありません。ただし念のため、小児や若年者であれば受傷後6時間、高齢者であれば数日は注意していただくようにしています。


危険な頭部外傷

 これに対して、自動車との交通事故や1メートル以上の高さからの転落、スノーボード中や酩酊状態での転倒、自転車の転倒などによる強い頭部外傷では、骨折や脳損傷が起こることがあります。受傷直後から気を失っていたり、けいれんが見られたり、手足の麻痺、言語障害など神経症状のある場合は、頭蓋内出血や脳・頸部の損傷を起こしている可能性が高いため、できるだけ早く救急搬送することが重要です。


 緊急手術必要な場合

 このような重症頭部外傷がもとで起こる病気に、急性硬膜下血腫と外傷性脳内出血があります。いずれも強い頭部外傷により脳表面や脳内の血管が損傷して出血することで生じ、後遺症を伴う脳障害を引き起こします。血腫が脳を強く圧迫すると、頭蓋内圧(脳圧)が上昇して命を落とす危険が生じるため、緊急手術を行い血腫を取り除く必要があります。


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 こうした事態に備え、当院の救急センターでは、血腫除去の手術をすぐにできる体制をとっています。過去3年間に昏睡状態で救急搬送された急性硬膜下血腫の患者さん6人に緊急手術を行い、4人は元の生活に戻られました。


=写真=大屋 房一(脳神経外科部長=専門は脳神経外科、脳血管障害、脳血管内治療)

 
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