010 打撲と骨折 ~痛みと腫れと経過 レントゲンで診断を~

 救急で整形外科を受診される患者さんは、一様に「まさか私が骨折するなんて思ってもみなかった」とおっしゃいます。しかし「ちょっとつまずいただけ」「ちょっと手をついただけ」で骨は折れるものなのです。


 では、打撲と骨折はどのように見分けたらいいのでしょうか。それは簡単なようで難しいものです。なぜなら、打撲と骨折は、同じ外傷で起こり得る同一線上に並ぶけがであり、その間にはいろいろな程度の受傷状態が混在しているからです。


 ぶつけたことによるけがの程度を整理してみましょう。打撲から始まるけがの程度は、軽い方から順に

 (1)打撲

 (2)打撲+骨傷や不全骨折

 (3)打撲+ずれのない安定した骨折

 (4)打撲+ずれのある不安定な骨折

 (5)打撲+神経血管障害のある緊急性の高い骨折

 (6)打撲+出血+脂肪塞栓(そくせん)など命に関わる骨折

となります。厄介なのは、(3)から(4)、(4)から(6)へと変化する場合があることです。


 最も骨折が疑われるのは、受傷直後の患部の痛みと腫れです。骨折していると、経験したことがないほどの痛みと、関節が動かないほどの腫れが生じます。このどちらかがあれば、救急医にレントゲンで調べてもらってください。


 もう一つ大事なことは、受傷後の経過です。打撲であればせいぜい4〜5日で治まりますが、痛みや腫れがなかなか引かない場合は骨折が強く疑われます。こんなときには、近くの整形外科の先生にレントゲンを撮ってもらってください。


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 ただし、レントゲンによる骨折の診断も、万全ではありません。専門家でも診断のつかない骨折があるので、紹介状を持って市民病院へいらしてください。

(2011年10月22日号掲載)


松田 智(整形外科部長=専門は上肢の外科、末梢神経、マイクロサージャリー、肩関節疾患、四肢外傷難治骨折)

 
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