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30 「JSA」(2000年)〜韓流ドラマと映画は違う?

 Q テレビで韓流ドラマにはまりました。映画も見てみたいのですが、テレビとは違うでしょうか?


 A テレビドラマと映画は、やはり別物と思った方がよいでしょう。それはアメリカでも、韓国、日本でも大差ないと思います。

 「韓流」という用語は漢字の読み方(ハンリュウ)が示すように、台湾など漢語圏での韓国テレビドラマブームが日本にも伝播したもので、やはり最初はテレビが中心でしょう。韓国映画は、テレビほどアジアを席巻するまでには至っていない気がします。


 戦後長くタブーであった日韓の大衆文化面での交流に大きな変化がもたらされたのは、1998年の日韓パートナーシップ共同宣言のころで、その後やっと韓国の人々が日本映画を劇場で見たり、日本の映画館で韓国映画が見られるようになりました。


 最近、日本映画でリメークされたホ・ジノ監督の『八月のクリスマス』が、韓国公開の翌年の99年に日本で公開されて評判を呼ぶと、その後も話題作が続々と上映され、興行的にも成功を収めました。各作品とも韓国の観客動員数に並ぶまでにはいきませんが、世界的に評価された作品も多く生まれています。


 韓国映画入門に際しては、テレビドラマとは違う入り口から入り、イケメン系俳優とは違った俳優たちに注目してみてはいかがでしょう。


 例えば、個性派スターのソン・ガンホは、『シュリ』『JSA』『殺人の追憶』『大統領の理髪師』『グエムル』など韓国映画の歴代ボックスオフィスヒットの上位を占める作品の多くに出演し、海外でも高い評価を得ています。


 まずは、かのイケメン系の代表格、イ・ビョンホン、伝説的ヒットドラマ『チャングム』の主演女優イ・ヨンエとの共演作『JSA』(パク・チャヌク監督、2000年)を見てみましょう。


 JSA、すなわち朝鮮半島の38度線、板門店の共同警備地区で、南北兵士の銃撃戦による死者が出ます。調査に当たるのが、チャングムならぬ韓国系スイス人、ソフィー(イ・ヨンエ)。彼女が南の兵士(イ・ビョンホン)と北の兵士(ソン・ガンホ)の供述の違いを調べ、事件の真相に迫ろうとするとき、新たな事件が起きます。


 韓国の386世代※を代表する故キム・グァンソクの歌う「二等兵の手紙」に共感し合う南北の兵士たち。彼らの友情や共感を非情に引き裂く現実。ストップモーションから各登場人物のクローズアップ、最後の一人と全員が見えるまで、カメラが引いていくエンディングは印象的です。テレビとは一味違う韓流もどうぞ。

(2011年10月1日号掲載)


 ※386世代 1990年代に30代(3)で、80年代(8)に大学生で学生運動に参加し、60年代(6)の生まれ。


 
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