012 目に薬品が ~種類によって重篤に 初期処置が全て決す~

 薬品が目に入ってしまう事故は、日常生活の中で時々みられることです。洗剤がはねたり、笑い話のようですが下剤を目薬と間違えて点眼してしまったり...。思わぬところに事故の芽は潜んでいます。


 目に入っても大きな障害にならないものもありますが、種類によっては重篤な障害を引き起こします。


 組織を破壊する薬品

 薬品による目の障害は化学腐蝕と呼ばれます。酸腐蝕、アルカリ腐蝕は眼球の表面、角膜や結膜といった組織を破壊してしまいます。酸は角膜や結膜の組織のタンパク質を変性させます。アルカリはことに大変で、細胞膜を融解してしまいます。体の組織の中への浸透性が高いため、どんどん眼球の中へ浸入していってしまうのです。


 酸性の薬品としては、硫酸が使われているバッテリー液、酸が使われているトイレなどの洗剤があります。アルカリ性の薬品にはカセイソーダ、カセイカリ、生石灰、セメント、モルタル、毛染め液などがあります。このような薬品が目に入ったらどうすればいいのでしょうか。


 すぐ洗うこと

 実は、すぐ病院に駆け込んではいけません。

 薬物に接触した目の障害は、その薬物にどのくらい長い間さらされていたかによります。ですから「薬品が目に入ったかな」と思ったら、即座に洗い流すことが大切です。病院まで移動している時間はないのです。


 しかも単に洗い流すだけでなく、大量の水で十分に時間をかけて、染み込んでしまったものを希釈させるつもりで洗ってください。シャワーのように流水で洗い続けられれば一番ですが、洗面器などに水を流し続け、その中で目をぱちぱちとまばたきして洗い流してもよいでしょう。石灰などは、まつげやまぶたの皮膚に付いたり、まぶたの内側に固まって残っていたりします。


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 初期処置が全てを決めるといっても過言ではありません。痛くても頑張って最低でも10〜15分は洗い続け、その後で落ち着いて最寄りの眼科を受診しましょう。

 日常的に危険な薬品を扱う人には、受傷した場合に備えマニュアルを作ることをお勧めします。

(2011年11月12日号掲載)


=写真=風間 淳(眼科部長=専門は眼科全般)


 
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