
梅雨を忘れさせるような晴天が続いた6月中旬の日曜日。前日に千葉や東京に住む学生時代の友人らとネマガリダケのタケノコ狩りを楽しんだのに続き、四十八池(しじゅうはちいけ)から大沼池を回る志賀高原の池めぐりに出掛けた。
朝食前に、まず2台の車に分乗して1台をコース終点の清水公園に置きに行き、朝食後、もう1台で出発地点の硯川に向かう。ここからリフトに乗って前山湿原へ。朝の日差しを浴びて横手山が間近にそびえる。
歩き始めて、すぐ渋池に。池の手前には幾つもの浮島があり、水面に横手山の姿が写る光景は絵のようだ。
樹林の中をしばらく歩くと、志賀山コースとの分岐点へ。この日は志賀山には登らず、一路四十八池へ向かう。リフトを降りてから1時間足らず。子ども連れでも行ける手軽なハイキングコースだ。
四十八池は大小60もの池塘(ちとう)が点在する高層湿原=写真上=。ここを訪れたのは3回目だが、いつ来ても美しい。「山上の楽園」の呼び名もうなずける。この時季はまだミズバショウが咲いていた。木道の手前にあずまや、奥にはテラスが整備されていて、ゆっくり休憩できる。
四十八池から大沼池へ下る途中、引き返してくる老夫婦や子ども連れの家族に出会った。聞けば、雪が道をふさいでいて危険だという。確かに、そんな場所も一、二あったが、注意さえすれば通れないほどのことはない。

時折、眼下にコバルトブルーの水をたたえた大沼池が見える=写真下=。強酸性のためといわれるが、これだけ鮮やかな青色をした湖面はめったに見られない。
階段状の急な斜面を下り切ると湖畔に出る。不思議なことに、遠くから見るとあれだけ青かった水面が、水際では澄んで透明だ。それが沖の方へ、水が深くなるほど青さが増していく。周囲を緑に包まれた池には大蛇伝説が伝わり、神秘的な雰囲気をたたえている。
池のはけ口のベンチで昼食を食べ、1時間ほど歩くと終点の清水公園へ。その手前には「志賀の銘水」と呼ぶ、滝状に滴り落ちるわき水がある。一汗かいた後、のどを潤した水のうまかったこと。登山とは違って、終始快適なトレッキングだった。

(2008年7月5日号掲載)