013 鼻出血 ~出血側の鼻翼を圧迫 大抵は数分で止血~

 鼻出血は、救急外来を訪れる耳鼻咽喉科の症状として比較的多く見られます。原因には、鼻腔内の局所的要因と全身的要因の二つがあります。


 小児の鼻出血

 小児の鼻出血の原因の多くは局所的なもので、指や手による鼻いじり、鼻風邪やアレルギーに伴う鼻炎、副鼻腔炎が大半を占めています。出血部位は、ほとんどが入り口部の鼻中隔から鼻底部で、鼻粘膜表面の血管が傷つくことに起因します。出血量はさほど多くないのですが、回数が多く出るという特徴があります。


 夜間寝ている時、無意識にいじり、出血に驚いて来院することがありますが、多くの場合、出血している側の鼻翼(小鼻)を数分間圧迫することにより止血します。


 成人の鼻出血

 成人の鼻出血の局所の原因は、小児のような炎症による粘膜のただれよりは、鼻内の乾燥、鼻中隔の湾曲や粘膜が厚くなることによる鼻炎が多いです。


 また原因は局所のみでなく、動脈硬化、高血圧、腎・肝疾患に伴う出血など、全身的な要因も加わります。特に細菌による感染症、高血圧や心疾患、脳梗塞後などに処方される抗血栓薬は出血しやすくなる副作用があるため、これに起因する出血も多くなってきています。


 出血部位の多くはやはり鼻中隔ですが、鼻の入り口よりやや奥に入った部位では、外からの圧迫では止血しにくい動脈性の出血が多く、なかなか止まらないことがあります。ただ直接出血部位を圧迫できない場合でも、出血している側の鼻翼をしっかり圧迫し、うつむき加減の体勢にしていると、大抵は数分で徐々に止血してきます。


 病院での治療

 このような処置を試みても、多量に出血したり止血しない場合は、鼻内の出血部位を直接圧迫する必要があります。応急処置としては、出血側の鼻腔内に、血管収縮薬の付いたガーゼを入れ圧迫します。専門的には、鼻内に固まった血の塊を全て除去し、出血部位を確認し焼灼(しょうしゃく)止血を行います。


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 鼻からの出血で受診したときは、冷静に(1)最初どちらの側から出血したか、また喉の方に回ったか(2)どれくらいの時間出血が続き、出血量はどの程度か(3)基礎疾患や過去に出血の既往があるか(4)止血しにくい薬物を服用しているか-を正確に知らせてください。


=写真=野村 康(耳鼻いんこう科部長=専門は頭頸部腫瘍)

 
知っておきたい医療の知識