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14 本白根山 〜息のむ火口丘とコマクサ〜

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 学生時代の仲間たちと"ミニ同窓会"を兼ねて志賀高原でタケノコ採りをし、したたかに飲んだ翌日の日曜日、本白根山(2171m)で山歩きを楽しんだ。


 午前9時に宿を出発。国道292号線を草津方面へ向かう。渋峠を過ぎた辺りから急に霧が濃くなった。5m先も見えない。突然、ヘッドライトを付けた対向車が目に飛び込んでくる。


 慎重運転で白根山駐車場に到着。ここから、湯釜の見物でにぎわう観光客とは反対方向の国道南側に入る。無料のシャトルバスが待っていたので乗り、登山口近くの白根火山ロープウエー山頂駅へ。


 午前10時ごろから歩き始め、しばらくは森林帯の中の下り加減の巻き道を進む。こんなに楽でいいのかと思い始めたころ、急な階段状の上りに。二日酔いのせいか、すぐに息が上がる。ふだん山に強い同行のT氏まで音を上げている。


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 よく整備された木道を過ぎ、ひと登りすると眼下に鏡池が見える。ここも火口跡だ。池の畔(ほとり)に珍しい亀甲状の文様が見られるというので訪ねようとしたが、折あしく狭い道を50人以上の団体客が戻ってくる。あきらめて山頂へ向かう。


 斜面を登り切ると、目の前に巨大なすり鉢状のくぼ地が現れた。「空釜(からがま)」と呼ばれる中央火口丘だ。底に水はなく、斜面は崩れた岩石や灌木(かんぼく)で覆われている。深田久弥が著書『日本百名山』で、古代ローマのコロッセ(円形劇場)に例えたのがうなずける。


 展望案内盤のある山頂で昼食を取り、帰路は火口丘の内側を横切る。そこここに見られたコマクサが、この辺りのガレ場には群落を成し、畑のようだ。一度絶えたのを復活させたという。花の時季にはまだ早かったが、一部は赤いかれんなつぼみを持ち上げていた。


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 空釜から離れ、遊歩道をどんどん下り、スキーゲレンデに沿って下り切ると下山口だ。この間、3時間余。我々とは逆のコースをたどれば、手軽なハイキングコースだろう。見応えのある火山景観と、これからは見ごろのコマクサの花が迎えてくれる。  


(2009年7月4日号掲載)