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019 苗場山 〜「山上の楽園」にうっとり〜

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 10月最初の土曜日、信越県境の苗場山(2145m)に登った。10年ほど前に訪れた時は横なぐりの雨に遭い、「山上の楽園」と形容される眺めを楽しむこともできなかった。以来、好天時にもう一度、との思いを抱いてきた。


 幸い、朝から素晴らしい天気に恵まれた。午前6時に同行のS君の車で長野を出発。一路、秋山郷を目指す。時間を稼ぐため、飯山まで上信越道を使い、国道117号を北上。新潟県の津南町から国道405号を南下する。


 赤湯で知られる小赤沢温泉から6キロほど上ると、登山口の3合目駐車場に着く。ここまで2時間半。広い駐車場には早くも数十台の車が。「日本百名山」でもある、この山の人気の高さをうかがわせる。


 身支度を整え、8時40分に出発。樹林帯の中の登山道はぬかるみが多く、ズボンの裾の汚れを防ぐため途中でスパッツを着ける。歩きやすいように所々、太い丸太の輪切りが埋め込まれてあり、登山者への配慮がうれしい。


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 6合目の水場でのどを潤し、鎖場のあるきつい上りを詰め終わると、ぽっかりと天井が抜けたような高台に出る。一面の草もみじの中に、点在する池塘(ちとう)の青さと、小高い丘の色鮮やかな紅葉が映える。


 快適な木道歩きの後、しばらく続く樹林帯を抜けると、再び平たんな山頂部が広がる。見渡す限りの草原に数百もの池塘が散らばる。池の中にイグサのような植物が群生している様は、まさに山名の「苗場」そのものだ。


 小屋の近くの頂上を訪れた後、楽園を一望しながら木道脇の空き地で昼食にする。前回は眼鏡をかけていられなかったほどの雨だっただけに、あらためて山頂部の広さに驚く。


 もう一度来られるかどうかは分からない絶景に別れを告げ、登って来た道を再び戻る。上りもきついが、足場が悪いため下りもこたえる。帰路は志賀高原回りで長野へ。奥志賀の紅葉はまだこれからだった。 


(2010年10月16日号掲載)

 
中高年の山ある記