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021 白馬三山 〜雪渓歩き絶景と温泉堪能〜

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 盆過ぎに計画していた白馬岳(2932m)、杓子岳(2812m)、鑓ケ岳(2903m)の白馬三山登山が実現したのは、天候不順と所用が重なり、彼岸の連休となった。


 同行のS君の車で5時に長野市を出発、白馬村へ。登山口の猿倉をスタートしたのは7時20分。登ること1時間余。白馬尻小屋を過ぎ、間もなく大雪渓へ。


 雪渓からは水蒸気が立ち昇り、一面霧に覆われたようだ。6本爪のアイゼンが雪に小気味よく食い込み、歩きやすい。


 一年で最も雪渓が短い時季だけに、雪上歩きがあっけなく終わると、草地やガレ場の急登が続く。少し前ならきれいなお花畑だったであろう葱平(ねぶかっぴら)を過ぎ、谷を登り詰めると村営の頂上宿舎だ。


 ここから今日の宿の白馬山荘はすぐそこ。ところが急に曇ってきたと思ったら、あられが降ってきた。それが雪に変わったところで、14時過ぎに山荘に到着。辺りはうっすら雪化粧した。


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 自炊室で遅い昼食を取り、休憩していると天候が回復したので山頂を目指す。もう少しで頂上というところで、強風にあおられた。信州側が切れ落ちている稜線だけに危険を感じて引き返す。


 17時からの夕食後、19時には寝て翌朝は4時に起床。5時からの朝食を済ませると、宿泊客は一斉に外へ。雲一つない好天だ。再び白馬岳の山頂を目指す途中、雲海から太陽が昇った。荘厳な御来光に見とれ、朝日で赤く染まった頂上へ。


 雲上に見えるのは、浅間山、八ケ岳、富士山。さらに南アルプスから中央アルプス、乗鞍、槍・穂高。立山、剣岳は指呼の間だ。360度の大パノラマを楽しみ、杓子岳へ向かって出発。きょうは10時間の長丁場だ。


 気温は氷点下。凍った地面に足を奪われる。西側には富山の市街地と日本海が見える。いったん下り、杓子岳の大斜面を登る。山頂からは白馬岳の姿が美しい。再び斜面を下って、鑓ケ岳へ登り返す。この山頂からの眺望がまた素晴らしい。眼前に唐松岳から五竜岳、鹿島槍ケ岳を望み、再び大パノラマに見とれる。


 鑓ケ岳を下り、分岐から白馬鑓温泉へ。途中から鎖場の続く道を慎重に下る。谷間の雪渓がぱっくり口を開けている。硫黄の臭いとともに白馬鑓温泉小屋が見えてきた。


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 標高2100mの小屋は夏場3カ月間だけの営業。汗を流した登山者しか訪れることのできない秘湯中の秘湯だ。背後の岩の割れ目から湯が湧き出し、程よい温度で湯量も豊富。露天風呂に漬かり、登山口の猿倉へ向かって再び出発。掛け流しの湯が川や滝のようになって流れ、湯煙を上げているのが遠くからも見える。


 鑓温泉から下ること3時間余。長い道のりを経て猿倉に到着したのは16時過ぎだった。


(2011年10月15日号掲載)

 
中高年の山ある記