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45 英語と日本語は祖先異なる 〜「簡単ではない」英語習得 克服には文法の理解を〜

 文法をあまり説明しない他の理由として「英語を(母語として)話す人は、ドイツ語やスペイン語、フランス語もあまり文法の説明なしに短期間でできるようになる。だから、日本人も文法の説明がなくてもできるようになるはずだ」というものがあります。


 このような発言は、「英語」と「日本語」、「英語」と「ドイツ語、スペイン語、フランス語など」の構造の違いの大きさを無視するものです。


 「彼は私の先生です」という文を英語とドイツ語で表現したものを比べてみてください。


(英語) He  is     my    teacher. 

 ↓  ↓   ↓  ↓  

(ドイツ語) Er  ist  mein  Lehrer.


 言葉の並び方がよく似ているので、まるで単語を英語からドイツ語に置き換えているだけのような印象を持ちます(もちろん、すべての部分がこのように置き換えだけでできるわけではありませんが)。それは、英語とドイツ語の言語の祖先が共通しているために、言語の(特に仕組みの)特徴が似ているからです。この言語グループを「インド・ヨーロッパ語」と言います。


 ですから、英語を母語とする人がドイツ語を学ぶ際に感じる難しさは、「文の構造の理解」に関しては、川に例えれば、家の横を流れている50センチ程度の幅の小川を飛び越えるようなものです。子どもでも、ちょっとした助けがあれば、一人で飛び越えることが十分可能です。一方、日本語と英語を含むインド・ヨーロッパ語は、文の基本構造が大きく異なります。


 したがって、日本語を母語とする人が英語を学ぶということは、川幅が1キロを超える大井川の河口を渡るようなものなのです。「文法説明」というしっかりした橋を架け、そこを渡る必要があります。英語という川を越えるのに、「ジャンプすればすぐ渡れるよ」などと言って、飛び越えさせようとすれば簡単に溺れてしまいます。一言で言うと、日本人にとって英語は、学ぶことが「簡単ではない」言語なのです。英語を母語とする人たちが日本語を学ぶ際にも同じことがいえます。


 しかし、この事実は、日本語を母語とする人がいったん英語の仕組みを理解する、つまり、大井川を無事に越えると、ドイツ語、スペイン語、フランス語などの言語を比較的簡単に習得できることを意味します。ですから、英語という外国語を一つ習得することは、他のヨーロッパの言語の多くを使えるようになるマスターキーを手に入れることになるといえるのです。


 さて、英語はインド・ヨーロッパ語に属する他の言語に比べ、日本人にとってより難しく感じられる別の理由があります。そのために精密な学習が必要となるのですが、それについては次回。

(2011年11月26日号掲載)

 
たてなおしの教育