015 食道の病気 ~増加する食道がん 不快な逆流性食道炎~

 今回は食道の病気「食道がん」と「逆流性食道炎」についてお話しします。

 食道がんは飲酒と喫煙から
 食道がんは近年増加傾向にあり、お酒やたばこを好む男性に多い病気です。飲酒・喫煙歴がない人に比べ、飲酒歴のある人は約8倍、喫煙歴がある人は約4倍、両方ある人は約30倍も食道がんになる危険性が高いといわれています。

 アルコールは体内でアセトアルデヒドに分解されますが、このアセトアルデヒドが食道がんの原因物質であることが分かってきました。日本人の約半数はアセトアルデヒドを分解する酵素が欠損しており、お酒を飲むと顔が赤くなります。それでも長年、大量の飲酒を続けると、アセトアルデヒドが体内に蓄積し食道がんになりやすくなります。食道がんの予防は大量飲酒と喫煙を控えることに尽きます。

 早期発見が大事
 食道がんは初期には無症状ですが、進行すると固形物のつかえ感が出るようになります。診断には内視鏡検査が不可欠であり、現在はNBIという特殊光で早期発見ができます。

 食道がんの治療には内視鏡治療、外科手術、化学放射線療法の3つがありますが、がんの進行度と患者さんの体力を考えて治療法を選択します。早期がんは内視鏡切除、リンパ節転移の可能性があるもう少し進行したがんは外科手術、他臓器に転移がある人や外科手術ができない人には化学放射線療法を行います。

 内視鏡切除は約1週間で退院でき、食道が温存されるため術後の生活は快適です。一方、外科手術や化学放射線療法は体への負担が大きいため、できるだけ早期発見して内視鏡治療を行うことが重要です。

 逆流性食道炎
 逆流性食道炎は、胃酸が胃から食道へ逆流することにより、胸やけ・胸痛・喉の違和感などを引き起こします。良性の病気ですが、経験したことのある人にはわかる大変不快な病気で、最近は「胃食道逆流症(GERD)」と呼ぶようになっています。

 加齢とともに食道と胃の境が緩くなること、肥満や脂肪分の取り過ぎにより下部食道括約
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筋が緩んで逆流を起こしやすくなること、ピロリ菌感染率低下により胃酸分泌が多くなるこ
と-などが主な原因です。

 PPIという1日1回1錠飲む薬ですっかり良くなりますので、思い当たる症状がある人はかかりつけの先生に相談してみてください。
(2012年1月14日号掲載)

=写真=長谷部 修(副院長兼消化器内科部長=専門は胃腸、膵胆道疾患など消化器一般)

 
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