016 犬にかまれたら ~傷の中を水で洗浄 破傷風の予防注射も~

 犬にかまれた傷は、傷口が小さく見えても、腫れが長引いたり化膿しやすいのが特徴です。それは、犬の口の中に雑菌が多いことや、見た目よりも傷が深いことが多く、傷の内部で細菌が繁殖しやすいことによります。


 また、犬の唾液には人間にとって異種のタンパク質が含まれるため、強い炎症を起こしてしまいます。


 早めに病院へ

 犬にかまれた傷を縫ってふさいでしまうと、細菌や犬の唾液を中に閉じ込めてしまうことになるので、開いたままの傷として処置するのが基本です。細菌などを除去するには、傷の中をきれいな水で念入りに洗浄することが重要です。そのために傷の周りに局所麻酔の注射をしたり、ときには切開を追加して傷口を拡大することもあります。


 いずれにしても自宅では十分な洗浄はできませんので、犬にかまれたら早めに病院で処置を受けるのがよいでしょう。


 細菌感染の予防のために、抗生物質の投与は欠かせません。中でも破傷風菌は土壌や塵埃(じんあい)、動物の糞(ふん)便の中に広く常在しているので、犬にかまれた場合には、破傷風の予防注射も必要です。


 高まる狂犬病の危険

 狂犬病は1956年以来、国内では犬、人共に発症は報告されていません。しかし海外では毎年5万人以上が発症しており、キツネやアライグマ、コウモリなど犬以外の野生動物からの発生例もあります。海外でこれらの動物の被害にあった場合には注意が必要です。


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 近年、様々なペット動物が海外から持ち込まれており、その数は増加傾向にあります。そのため、今後は日本国内へ狂犬病ウイルスが再侵入する可能性がある、といわれています。また、飼い犬の狂犬病予防接種率は年々低下傾向にあるため、狂犬病ウイルスが入り込んだ場合には、一気に流行が拡大するのではないかと懸念されています。

(2012年1月28日号掲載)


滝 建志(形成外科部長=専門は形成外科全般)

 
知っておきたい医療の知識