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023 飯縄山 〜身近で楽しめる爽快な雪山〜

 長野市街が今季初めて雪化粧した昨年暮れの土曜日、1年間の山行の締めくくりに飯縄山(1917メートル)に登った。冬の北アルプスは無理だが、市民の山・飯縄なら、よほどの悪天候でない限り身近で雪山が楽しめる。

 飯綱高原に別荘を持つ知人の誘いで、この時季の飯縄登山は一昨年に続いて2度目。知人の同僚らと5人で9時半に別荘を出発、歩いて登山口の大鳥居へ。

 この朝の南登山道は誰も登っておらず、積もったばかりの新雪を踏みしめて歩く。樹林の中は積雪もくるぶし程度で歩きやすい。ウサギと思われる動物の足跡だけが前方に点々と続く。

 奥宮一の鳥居を過ぎると、1番・不動明王の石仏が待ち受けている。この先も2番・釈迦、3番・文殊、4番・普賢...と全部で13体の石仏があり、道しるべになっている。

 積雪が足首を越えるころ、ほぼ中間点の「駒つなぎの場」に到着。ここまでに1時間以上。雪のため思ったより時間がかかる。小休止の後、急な上りに。雪の下が石だったり笹(ササ)だったりすると、足が滑って登りにくい。凍った水場を過ぎ、唯一の鎖場を越すと「天狗の硯石」だ。ここからは眼下に飯綱高原のゴルフ場が見下ろせ、市街地も望める。

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 見上げると、山頂付近から20人近い一団が下って来る。中社方面への分岐付近で出会う
と、一行はそちらの西登山道へ。我々とは違うコースでの往復だ。分岐から上は彼らの踏み跡があって登りやすくなった。

 森林帯を過ぎた辺りから前回は吹き付ける風に悩まされたが、この日は無風状態。日が差すと、雪面がキラキラ反射して目を射る。

 間もなく山頂手前の飯縄神社へ。全国に分社を持つ総本山にしては簡素な社だ。全員で無事を祈願。踏み跡はここまでで、先ほどの一行は山頂まで行かず、社殿の中で昼食を取って引き返したようだ。

 そこから先は、再び処女雪をかき分けての雪中行進。南峰から主峰までの山頂部は膝ぐらいまで雪があり、先頭はかなり疲れる。3時間余りかかって登り切った頂上からは北側に戸隠連峰が一望でき、夏に登った高妻山(2352メートル)がひときわ高く白く輝いていた。山頂部の樹木は皆、雪をまとって樹氷になっている。

 写真を撮り景色を楽しんだ後、飯縄神社の社殿の中で昼食に。冬は特に、風雪を避けられる社殿があるのがありがたい。ガスコンロでカップ麺の湯を沸かしたついでに、持参した御神酒をちょっとだけ頂戴。熱燗(かん)が冷え切った体を内部から温めてくれた。
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 下りは自分たちの踏み跡があるため快調。時折、足を滑らせ転んで雪まみれになるのもご愛嬌(あいきょう)。1時間半で下りきった。帰路は霊仙寺湖畔の天狗の湯に立ち寄り、露天風呂から正面の霊仙寺山を仰ぎながら外側からも温まった。
(2012年1月14日号掲載)

=写真=山頂で雲間から姿を見せた高妻山に歓声を上げる一行
 
中高年の山ある記