017 高血圧と塩 ~体のために必要でも取り過ぎには注意を~

 「アルドステロン」というホルモンをご存じでしょうか。副腎という腎臓の上にある臓器から分泌され、体に塩をためるホルモンで、高血圧症と関係があります。


 アルドステロンの役割

 アルドステロンは、海から陸地に生物が上がるために重要なホルモンでした。海にすむ生物には周りに塩がたくさんあるので、このようなホルモンは必要ありませんでした。しかし、陸地では塩は体の周りにいつでもあるわけではありません。そこで、生物は塩を体にためるための手段としてアルドステロンをつくったと考えられます。


 塩をおいしいと感じるようにしたことも、塩を体にためるために重要だったと考えられます。ラーメンのスープはとてもおいしいですよね。昔、武田信玄は塩がなくて困り、上杉謙信から塩を送ってもらったことも有名です。塩は貴重品でした。


 現在、塩は簡単に手に入ります。塩が簡単に手に入る時代では、塩の取り過ぎに注意しなければいけません。塩分の取り過ぎは胃がんとも関係があるといわれていますので、薄味にすることはとても重要です。


 原発性アルドステロン症

 このようにアルドステロンは塩を体にためる重要なホルモンです。しかし、副腎にアルドステロンを分泌する良性の腫瘍ができると高血圧になります。このような病気を「原発性アルドステロン症」といいます。この病気は高血圧症の5%ぐらいにあるといわれ、決してまれな病気ではないことが分かってきました。


 この病気は、以下のことに当てはまると可能性が高いとされています。

(1)50歳以下で高血圧

(2)血液中のカリウム濃度が低い

(3)収縮期の血圧が160以上

(4)血圧の薬を3種類以上服用中

(5)副腎に腫瘍がある

(6)40歳以下で高血圧からくる様々な合併症を起こしている-。


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 (1)から(6)の中で当てはまることがあれば、主治医に検査してもらってください。診断は血液のアルドステロンとレニン活性を測定して行います。もし原発性アルドステロン症ならば、副腎腫瘍を切除したり、アルドステロン拮抗薬という薬を使うと、高血圧症が治癒する、または劇的に改善する可能性があります。

(2011年2月11日号掲載)


=写真=西井 裕(内分泌・代謝内科部長=専門は糖尿病、内分泌・代謝疾患)

 
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